商業出版と自費出版は著者様をダマす輩がほとんど!
私自身、出版サギに引っかかるところでした
私(丹波)もクリエイティブ集団COW AND CATを設立する前は、やはり自分の本を商業出版したいと思っていました。
そこで何社かの自費出版社、商業出版社にあたり、原稿を提出しましたが、私の場合は全てサギでした。
「本を出せる!」と思ってこちらは浮かれてしまいますが、よく考えるとおかしいことばかりなのです。
それで色々と調べてみると、この業界は「出版希望の人」を食い物にして成り立っている、と言うことが分かりました。
そこで私は、それなら自分の本は自分で出す、ということと、同じようなサギに合っている善良な著者様を救うためにCOW AND CATを設立しました。
ここでは私の体験も踏まえながら、「自費出版サギにあった人の弁護士への相談」事例を、特定できないように一部アレンジして、自費出版、商業出版サギの実態をご紹介します。
ある主婦からの相談
ある自費出版社がリーズナブルな料金で希望の期限までに製本してくれるというので、1年で3冊、各500部を自費出版しました。
ところがいくら待っても売上や印税について教えてくれません。それで連絡を絶ちましたが4年後に、私の本のテーマがブームになって来たので改めて連絡をしました。すると在庫は1年前に費用がかかるので一部を廃棄した、印税は3%、売上は数十冊だと言われました。その上、これまでの倉庫代金として70万円、3冊の製本費用で200万円を請求されました。印税は15万円なのでそれは差し引くと言われました。
まだ残っている在庫は7掛けで買い取れるというのですが、出版コストをすべてこちらが持っていて、印税契約になっているのに、倉庫代が請求され、在庫まで買い取れというのはおかしいと思います。しかしそれをしないと本の販売を止めると言ってきました。契約書を見せろと言っても、すでにこちらに渡してあると言い、コピーを要求すると本人確認ができないから駄目だといいます。
※2018年08月20日の「弁護士ドットコム」からのアレンジ
私が答えるとしたら
失礼ですが、典型的なこちらの知識の無さに付け込んだ「出版サギ」ですね。
まず「自費出版」と「商業出版」は違います。
- 自費出版は出版費用を全て著者様が負担する方法です。その在庫をどこかの倉庫に預けるのであれば倉庫代も著者様の負担です。また全てが「自分の本」ですから「歩合」は発生しません。売れたらその売上が全て自分の収入です。
- 一方「商業出版」は出版社の費用で出版し、販売する事業です。売れた分に印税率をかけて印税を著者様に支払います。これが普通です。
以上が「原則」ですのでこの通り事業を行う出版社であれば何の問題もありません。
しかし、こちらに知識がないと知ると、出版社が悪徳な場合はそこに付け込んできます。何とかお金を巻き上げようとする商業出版社や自費出版社は後を絶ちません。
よくあるサギの手口
自費出版の場合
- 一生に一回のことだからと言って、豪華な仕様を勧めて来ます。表紙の文字が金箔。非常にお洒落なページ装丁。有名イラストレーターに表紙を描かせる。などがそれです。(当然豪華なほど自費出版社は儲かります。500冊で500万円と言う場合もあります。単価で計算すると1冊何と1万円です!)
- 宣伝と言っても、リスト会社を使って書店に「新刊のご案内」FAXを送るだけです。さらに「新刊のご案内」と言っても、多くの本が掲載され、著者様の本は隅の方に小さな字で載っているだけです。
- また自費出版社には販路がない=書店には並びません。せいぜい自社のサイトなどで売るだけです。当然ほとんど売れません。
- 自費出版で刊行した本は、すべて著者様の自宅に送られて来ます。「家が段ボールの山になると困るでしょう」と親切に言って自費出版社が預かることを申し出ます。その代わりに、倉庫代の実費に自費出版社のマージンを水増しして費用を請求して来ます。
- 書店に並べると言って、配架料を請求する場合もあります。しかし自費出版本には書籍流通に必要なISBNと言うコードがついていません。従って自費出版社の懇意にしている書店に送付して、適当に置いてもらうだけです。その本も数日で返本されます。
商業出版の場合(著者買取の手口)
まずホメて来る
- 商業出版社の開催する文芸賞に応募すると、封筒で「落選通告」が来ます。内容はあなたの原稿を大げさにホメているものです。「発売すれば必ず売れると編集部でも意見が一致したからぜひ出したい。ただ出版費用を一部負担してくれないか」と言うのが常套文句です。
- 出版社に原稿を持ち込むと、内容のことはほぼ聞いて来ません。代わりにSNSのフォロワー数。有名人の知り合いの有無。町内会などで役職の有無などばかり聞いて来ます。つまり著者様ルートでどれだけ「販売力」があるかを探り、多ければ出版するのです。逆に言えば、良い本でも「販売力がない」著者の本は出版しません。
- 原稿を商業出版社に送ると、原稿は読んでくれず「企画書を出せ」と言ってきます。だからと言ってそれを書くための相談には担当者は一切乗ってくれません。
出版したいがリスクを著者も負ってほしい、と言ってくる
- 企画を出させた上で「このままではリスクが大きくて出版できない」と必ず返答されます。企画を出させるのはちゃんと審査している、というポーズなのです。次に必ず「しかし著者様もリスクを負担してくれるなら出してもいい」と言って来ます。それが「著者買取」であり、通常300万円前後、請求すされます。ところが実際には出版社はその300万円だけで出版費用は十分にペイしています。つまり0円の自己負担で出版しているわけです。1冊でも売れれば商業出版社は単価の50%以上が利益になります。
- 初版の印税は0%だと言う出版社がほとんどです。それも著者様が質問して答えることが非常に多いです。
実際は約束の部数を印刷しないことも
- 商業出版社は「自分のところから出版すれば当然書店に並ぶ」と言います。しかし現在、全国に約1万店ある書店のうち、並ぶのは50~60店舗だけです。書店も商売なので、いい場所は売れそうな作者の本を並べます。結局、あなたの本は奥の方に数冊並ぶだけです。当然「平置き」などはありません。そして数日で返本されます。
- 返本されることを見越して、著者様には500冊刷ると言っておいて、実際には100冊しか刷らないという場合さえあります。
- 時間をある程度おいてから、返本分を著者に買い取れと言って来ます。その中には、実際には配架さえしないで倉庫に置いてあった分も入っています。
- またそもそも「出版契約」を結ばない。つまり印税などを取り決めないで出版する出版社がほとんどです。当然、著者様は後で「そんな損になる契約だったのか!」と驚くことになります
大切なお金を有益に使うために
自費出版の場合、商業出版の場合、必ず以下の点を担当者に確認しましょう。
この全てに明確に担当者が答えられないない場合、それは「サギ」の可能性が高いです。ですからその出版社とは付き合わない方が無難でしょう。
自費出版の場合
印刷だけ依頼する場合
- 費用の内訳を明細にしてもらい、その項目ごとにどういう仕様か確認します。1ページの印刷費用。表紙。紙質。カラーか白黒か。ハードカバーかペーパーバックか。表紙のデザイナーが決まっていたらその作品例も見せてもらいましょう。
- できあがった本は全て自宅に送られるのか。保管サービスはあるのか。あるとしたら料金体系(冊数✕日数)は、を確認してください。
販売促進もしてほしい場合
- 販売促進もしてほしい場合は、どういう方法があるのかを「料金+内容」とセットで聞きます。
- 中でも特にネット広告の場合は、どの方法なのかを聞く。パネル広告。リスティング広告。動画広告。SNS広告などネット広告も多様にありますから、そのうちのどれかまで確認してください。更に月当たりの露出数(ユーザーの目に触れる数)を確認しましょう。もしも相手の言っている中に分からない言葉があったら、必ず後でネットに詳しい人に聞いてください。そういう人がない場合は自分でネットで調べましょう。
- 広告を打つ場合は「成功報酬」なのか。その「成功」は何を意味するのかも確認してください。「成功報酬」と言っても、単にユーザーが見ただけの数の場合と、注文までもらった数の両方があります。
- 「書店に配架する」ことが可能。と言われた場合は、何店舗に何日間置くのかを確認してください。
献本のルートがあるのか
- できあがった本を誰かに献本したい場合、対応できるのか。費用は1冊いくらか。梱包代、郵送代、「献呈箋」代を含むのか。リストは手書きのものを渡せばいいのか。パソコンのデータになっていない場合、プラスの費用が必要か。などの細かい点まで確認してください。
- 雑誌社や新聞社などの書評欄に送ってくれるのか。そのルートはあるのか。も聞きましょう。してくれない場合は、自分で送付しなければなりません。
- 著者校正は何回できるのか。出版社の方でも校正(誤字脱字がないか)、校訂(内容が正しいか)をしてくれるのか。も重要な確認点です。
商業出版の場合
まず著者買取があるのか確認
- 著者買取はあるのかは事前に必ず確認してください。また著者買取のほかに費用がかかるのかも要確認事項です。
- 著者買取の費用の内訳および算出根拠を確認してください。
- 著者買取ではなく「販売支援」という言い方をして来ることもあります。その場合も内訳を確認しましょう。宣伝、などと答えた場合は、どのような方法にいくら投資するのかを確認してください。(自費出版と同様です)
著者の意見はどこまで反映するのか
- 表紙、装丁などに関して著者の意思は反映されるのかを確認しましょう。でないと非常に簡単な、お金のかからない表紙にされてしまう可能性があります。
- 初版は何部で、どこに配架されるのか、返本不可期間はあるのか確認します。
販売促進は何をしてくれるのか
- 販売促進の方法を聞きます。(チラシの場合どうやって配布するのか。FAXの場合は1枚の中のどのスペースに自分の本が載るのか実例を見せてもらってください)。
- 営業マンが主な書店に巡回営業してくれるのか聞きましょう。
- 印税は何%なのかも絶対に確認してください。
- 雑誌社や新聞社などの書評欄に送ってくれるのか。そのルートはあるのかを聞きましょう。ほどほど大きい出版社なら書評欄担当者と面識があるので、その人に直接話してくれるのかも重要な確認点です。
- 返本があった場合、著者分が発生するのかも聞いて下さい。その場合、1冊いくらを出版社に支払うのかも要確認事項です。
- 原稿を書く上で、担当者にどこまで相談できるのか。(構成、文章の良しあし
- 著者校正は何回できるのか。出版社の方でも校正(誤字脱字がないか)、校訂(内容が正しいか)をしてくれるのか。
どちらの場合でも必須のこと
- 事前に「出版契約」を結ぶのか確認する。
- 上記で確認したことは全て契約書に盛り込むこと。契約書が無理なら「覚書」を交わすこと。
- それを嫌がる、断る、避けたがる、言葉を濁す出版社とは絶対契約しないこと。
サギに引っ掛からないためには!
サギにあって、大切なお金を何百万円も取られないで済む。自分で全く満足できない本を出版しなくて済むためには!?
以下の条件に合う出版社を選ぶことをお勧めします。
信じられる出版社を見分ける8条件
- 担当者がウソをつかない。ネガティブな話はネガティブな話として正直に伝える
- あなたの原稿の良い点だけではなく、どこを直した方がいいということまで伝えてくれる
- 費用に関してごまかさずに細かく説明する
- 質問したことには全て明確に答える。分からないこと、その時次第であることは、そのままの事実を答える
- 出版をごり押ししない
- アイデアが豊富である
- 広告について(特にインターネット)詳しい
- 出版社だけではなく、読者としての目線も持っている