Ⅰ 商業出版と自費出版は著者様をダマす輩がほとんど!
1 私自身、出版詐欺に引っかかるところでした
私(丹波)も「出版詐欺」「出版トラブル」にひっかかりそうになったことがあります。
クリエイティブ集団COW AND CATを設立する前に私はやはり自分の本を商業出版したいと思っていました。
そこで何社かの自費出版社、商業出版社にあたり、原稿を提出しましたが、すべてトラブルに陥りました。つまり私の場合はに商業出版社、自費出版社が提示した出版内容が全て詐欺だったのです。
2 出版業界は詐欺だらけ。あなたをそこから救います。
相手の話を聞いていると「本を出せる!」と思ってこちらは浮かれてしまいますが、よく考えるとおかしいことばかりなのです。
それで色々と調べてみると、この業界は「出版希望の人」を食い物にして成り立っている、と言うことが分かりました。
そこで私は、それなら自分の本は自分で出す。ということと、善良な著者様が同じような詐欺に合うことから救う。ということのためにクリエイティブ集団COW AND CATを設立しました。
ここでは私の体験も踏まえながら、「自費出版詐欺にあった人の弁護士への相談」事例を、特定できないように一部アレンジして、自費出版、商業出版サギの実態をご紹介します。
Ⅱ 実際にあった「自費出版詐欺」「商業出版詐欺」事例
1 ある主婦が弁護士に相談した内容
ある自費出版社がリーズナブルな料金で希望の期限までに製本してくれるというので、1年で3冊、各500部を自費出版しました。
ところがいくら待っても売上や印税について教えてくれません。それで連絡を絶ちましたが4年後に、私の本のテーマがブームになって来たので改めて連絡をしました。すると在庫は費用がかかるので1年前に一部を廃棄した、印税は3%、売上は数十冊だと言われました。その上、これまでの倉庫代金として70万円、3冊の製本費用で200万円を請求されました。印税は15万円なのでそれは差し引くと言われました。
まだ残っている在庫は7掛けで買い取れるというのですが、出版コストをすべてこちらが持っていて、印税契約になっているのに、倉庫代が請求され、在庫まで買い取れというのはおかしいと思います。しかしそれをしないと本の販売を止めると言ってきました。契約書を見せろと言っても、すでにこちらに渡してあると言い、コピーを要求すると本人確認ができないから駄目だといいます。
※2018年08月20日の「弁護士ドットコム」からのアレンジ
2 私が答えるとしたら
失礼ですが、典型的なこちらの知識の無さに付け込んだ「出版詐欺」ですね。
まず「自費出版」と「商業出版」は違います。
- 自費出版は出版費用を全て著者様が負担する方法です。その在庫をどこかの倉庫に預けるのであれば倉庫代も著者様の負担です。また全てが「自分の本」ですから「歩合」は発生しません。売れたらその売上が全て自分の収入です。
- 一方「商業出版」は出版社の費用で出版し、販売する事業です。売れた分に印税率をかけて印税を著者様に支払います。これが普通です。
以上が「原則」ですのでこの通り事業を行う出版社であれば何の問題もありません。
しかし、こちらに知識がないと知ると、出版社が悪徳な場合はそこに付け込んできます。何とかお金を巻き上げようとする商業出版社や自費出版社は後を絶ちません。
Ⅲ よくある出版詐欺の手口
1 自費出版詐欺の手口
⑴一生に一回のことだからと言って、豪華な仕様をすすめて来る
表紙の文字が金箔。非常にお洒落なページ装丁。有名イラストレーターに表紙を描かせる。などがそれです。(当然豪華なほど自費出版社は儲かります。500冊で500万円と言う場合もあります。単価で計算すると1冊何と1万円です!)
⑵自費出版社が「販売も行う」と言っても「単に本を書店に配布するだけ」
自費出版社が「書店販売する」という場合の実態は、以下の2つです。
①自社が取引ルートを持つ書店へ1~2冊送りつける
しかしこういう場合のほとんどは、数十店舗の書店としか契約をしていません。ですから「販売する」と言っても数十店舗にあなたの本を並べるだけです。ですから「販売」と言っても大して売れません。
②「取次」または「販売代行会社」を通して配本する
❶販売を委託すると「販売手数料」がかかる
取次とは書店と出版社の間に入る仲介会社のことです。日本の取次の2大大手は「日販」「トーハン」です。この2つは全国のほとんどの書店に本を送ることができます。あるいは「本の販売代行会社」というものを利用しても同じことができます。
しかしここを通して本を販売した場合は、取次であれば売上✕30%の販売手数料を支払わなければなりません。(ネットの書店サイトで販売した時もほぼ同額の販売手数料を請求されます)。販売代行会社の場合はそれぞれの契約なので、さらに高くなる可能性があります。
とは言え、この方法であれば本を多くの書店に置くことができます。しかし「本を置く」ことと「本が売れること」の間には大きな溝があります。
❷書店販売をすると言うことは大量の「在庫」をもつということ
また「多くの書店に配本できる」ということは「多くの本を印刷しなければならない」と言うことです。1000店舗に配本すると言うことは1000冊印刷すると言うことです。従って自費出版社に払う費用も、跳ね上がるでしょう。
❸本は「置いておく」だけでは売れない。すぐに返品される。
1000店に配本した場合、自費出版の本は実績がないので、ほぼ確実に並べられるのは店の奥の目立たない棚です。そして2~3日店頭に並べて、売れなければすぐ返品されてしまいます。
この本の持ち主は「あなた」ですから、あなたの家に1000冊の本が返品されると言うことです。1000冊の本は段ボールで約30個ですが、あなたの家には段ボールを30個置くスペースがありますか?自費出版社の倉庫で預かってくれる場合もあります。しかしその場合は預かり賃を月数万円請求され、これも「聞いた・聞いていない」のトラブルのもとになります。
1番怖ろしいのは、その1000冊の本はあなたが「自分で売らなければ一生そのまま」ということです。つまりあなたは一生、月数万円を払い続けるか、自分の努力の結晶の本を廃棄しなければ(廃棄料も10万円近くかかります)ならないのです。
⑶「うちは自費出版の本でも宣伝するから売れる」というウソ
今書いたことでもわかるように「本」は単に書店に並べただけでは99%売れません。売るためには「こんな面白い本がある」と「誰かが」「何かの方法で」PRしなければなりません。
①書店にファックスを送るだけでも「宣伝」?
このPRを「販売促進」と言います。
具体的には、たとえば、書店リストを使って「新刊のご案内」ファックスを送るだけの場合もあります。さらに「新刊のご案内」と言っても、そこには多くの本が掲載されています。あなたの本は隅の方に小さな字で載っているだけです。これをするだけでも自費出版社から10万円程度の「販売促進費」を請求されます。
②確実に効果が出るのは営業マンの投入。しかし費用が莫大・・・。
もう1つのPRは1軒1軒の書店を「営業マン」が巡回し、書店員さんに本の良さをアピールする方法です。
その本の良さを理解した書店員さんは、売れた方が自分たちにもメリットがあるので、平積みにしたり、POPを立てたりして、あなたの本の面白さを来店客にアピールします。これは確かに効果があるので、あなたの本は売れるでしょう。
しかしこの「営業マン」(だいたい上で書いた「販売代行会社」とセットになっています)に払う費用は50万円/月以上です。それでいて担当できる書店は最高でも100店舗程度です。それ以上の店舗に配本した場合は、営業マンを増やさなければならないので、その分費用がアップします。1000店に本を置いた場合は、約月500万円の「営業マン費用」がかかるということなのです。
このように書店で本を販売すると、大きな費用と大きなリスクが同時に発生します。しかし自費出版社はそのことをあなたには伝えません。「とにかく、うちは自費出版だけではなく、あなたの本を売ることもできます」とセールストークを言うだけです。ですからこのような自費出版社の「リスクを言わない」詐欺には十分に気を付けましょう。
2 商業出版社の詐欺の手口
⑴まずホメて来る
- 商業出版社の開催する文芸賞に応募すると、封筒で「落選通告」が来ます。内容はあなたの原稿を大げさにホメているものです。あなたが多少の出費をしても十分に元が取れる、「ヒット本の著者になるためなら多少の負担も仕方ない」と思わせるための方策です。
- 出版社に原稿を持ち込むと、内容のことはほぼ聞いて来ません。代わりにSNSのフォロワー数。有名人の知り合いの有無。町内会などで役職の有無などばかり聞いて来ます。つまり著者様ルートでどれだけ「販売力」があるかを探り、多ければ出版するのです。逆に言えば、良い本でも「販売力がない」著者の本は出版しません。
- 原稿を商業出版社に送ると、原稿は読んでくれず「企画書を出せ」と言ってきます。だからと言ってそれを書くための相談には担当者は一切乗ってくれません。
2 出版したいがリスクがあるので「あなたにも協力してほしい」と言って来る
- あなたが企画書を提出するします。
すると「企画会議では出版しようと言うことになったが、やはりあなたが無名の新人なので、売れるかどうか分からない。だからうちもこのままではリスクが大きくて出版できないということになった」。と必ず返答されます。企画を出させるのはちゃんと審査している、というポーズなのです。 - 次に必ず「しかしあなたも協力してくれるなら出してもいい」と言って来ます。それが「著者買取」です。一般的にはだいたい300万円前後を請求されます。ところが実際には出版社はその300万円だけで出版費用は十分に足りてしまうのです。つまり出版社は自己負担0円であなたの本を出版するわけです。そして1冊でも売れれば、商業出版社にとってその売上はまるまる利益になるという、まさに丸儲け商売です。
- またほとんどの商業出版社は初版の著者印税は0%だと言います。そもそも出版前に「出版契約書」を結びません。あなたは自分の印税が何%かも知らずに出版していることが多いのです。
3 約束の部数を印刷しない詐欺
- 商業出版社は「自分のところから出版すれば当然書店に並ぶ」と言います。しかし現在、全国に書店は約1万店ありますが、並ぶのは50~60店舗だけです。そして書店も商売なので、いい場所は売れそうな作者の本を並べます。結局、あなたの本は奥の方に数冊並ぶだけです。当然「平置き」などはありません。そして数日で返本されます。そのような事実をあなたには事前にひとことも言いません。
- 返本されることを見越して、あなたには500冊刷ると言っておいて、実際には30冊しか刷らないということもよくあります。あなたが「何冊売れたか?」と問うと「だいたい400部くらい」と何の書類も見せずに適当な返事をします。在庫一覧を見せろと言うと、のらりくらりと逃げて、最後には「契約に見せる義務は書いていない」とトラブルになります。
- 時間をある程度おいてから、返本分を著者に買い取れと言って来ます。まだまともな商業出版社は何日かでも書店に置いて返品されたものを請求します。しかし悪質な商業出版社は、最初から配本しないで倉庫に眠らせておいたものを「返品分」としてあなたに買い取らせるのです。
- またそもそも「出版契約」を結ばない。つまり印税などを取り決めないで出版する出版社がほとんどです。当然、著者様は後で「そんな損になる契約だったのか!」と驚くことになります
Ⅳ 詐欺を回避して大切なお金を有益に使うために
いかがですか?真面目な出版社ももちろんありますが、想像していたよりも出版業界というものは魑魅魍魎の世界だと言うことがお分かりいただけましたか。
しかしあなたが本を出版したい場合、それでもこのような世界に存在する出版社の中から、「まともな会社」を選ぶしかないのです。
ですからあなたが依頼しようとしている会社が「善良」か「悪徳」かを知るために、必ず以下の点を担当者に確認しましょう。
この全てに明確に担当者が答えられない場合、その出版社はあなたを詐欺に引っ掛けようとしている可能性が高いです。ですからその出版社との交渉は一切断った方が無難でしょう。
また念のためですが、担当者との会話は必ず録音しましょう。でないと言った言わないで争うことになります。(ただし「記録のために録音しますね」ということはあらかじめ言わないと法的に問題となりますので注意してください)
1 詐欺(トラブル)を避けるための自費出版のチェックポイント
⑴印刷だけ依頼する場合
- 費用の内訳を明細にしてもらい、その項目ごとにどういう仕様かを確認します。1ページの印刷費用。表紙。紙質。カラーか白黒か。ハードカバーかペーパーバックか。表紙のデザイナーが決まっていたらその作品例も見せてもらいましょう。
- できあがった本は全て自宅に送られるのか。保管サービスはあるのか。あるとしたら料金体系(冊数✕日数)はどうなっているか、を確認してください。
⑵販売・販売促進も依頼する場合
- 販売の方法は何か(書店販売か、ネット販売か、その両方か)、売れた場合にマージンを払うのか、払うとしたらどういう基準かを確認しましょう。
- 販売促進も依頼する場合は、その方法と料金を詳しく確認しましょう。たとえば「ファックスDM」を流します、と言われた場合は、現物を見せてもらい、自分の本はどの部分にどのくらいの大きさで掲載されるのかを確認しましょう。
- 中でも特にネット広告の販売促進の場合は、どの方法なのかを必ず聞いてください。ネット広告と言っても種類はたくさんあります。パネル広告。リスティング広告。動画広告。SNS広告。あなたが全てをご存じでない場合もありますから、そういう時は納得がいくまで、どのようなものかを聞きましょう。更に費用は1カ月何人の人に見られた場合の金額なのか、あるいは何人の人に買われた場合なのか、ということと同時に「成功報酬」なのか。その「成功」は何を意味するのか。という点も確認してください。その数字が宣伝費に対して妥当な水準かどうかは、担当者に聞いても本当のことは言いませんから、あとでネットで調べて下さい。
- 「書店に配本する」と言われた場合は、何店舗に何日間置くことが約束できるのかと確認してください。また返品があった場合の保管方法、最終的な買取金額もチェックポイントです。
⑶献本のルートがあるのか
- できあがった本を誰かに献本したい場合、対応できるのか。費用は1冊いくらか。梱包代、郵送代、「献呈箋」代を含むのか。リストは手書きのものを渡せばいいのか。パソコンのデータになっていない場合、プラスの費用が必要か。などの細かい点まで確認してください。
- 雑誌社や新聞社などの書評欄に送ってくれるのか。そのルートはあるのか。も聞きましょう。書評を希望する本は全国から山のように編集部に届きますから、ただ送るだけでは埋もれてしまいます。ですから、書評担当者の個人名宛に送るルートを持っていることが重要です。
2 詐欺(トラブル)を避けるための商業出版のチェックポイント
⑴著者買取があるのは絶対に確認しましょう
- 著者買取はあるのかは事前に必ず確認してください。また著者買取のほかに費用がかかるのかも要確認事項です。
- 著者買取の費用の内訳および算出根拠を確認してください。
- 著者買取ではなく「販売支援」という言い方をして来ることもあります。これは「とにかくお金をくれ」と言っているわけですから、非常にいい加減な態度です。ですからその場合も、その内訳を出させましょう。宣伝、などと答えた場合は、どのような方法にいくら投資するのか、というところまで確認してください。(自費出版と同様です)
⑵著者の意見はどこまで反映するのか
- 表紙、装丁などに関して著者の意思は反映されるのかを確認しましょう。でないと非常に簡単な、お金のかからない表紙にされてしまう可能性があります。
- 初版は何部で、どこに配本されるのか。最低何日間は書店に並ぶのかも確認します。
⑶販売促進は何をしてくれるのか
- 販売促進の方法を聞きます。(これも自費出版と同様に、チラシの場合なら、どうやって配布するのか。FAXの場合は1枚の中のどのスペースに自分の本が載るのか実例を見せてもらってください)。
- 営業マンが書店巡回してくれるのか。その頻度、1度に何冊の本を営業するのかも聞きましょう。
- 印税は何%なのかは絶対に確認してください。
- 自費出版社と同様に、雑誌社や新聞社などの書評欄に送ってくれるのか。そのルートはあるのかを聞きましょう。ほどほど大きい出版社なら書評欄担当者と面識があるので、その人に直接話してくれるのかも重要な確認点です。
- 返本があった場合、著者分が発生するのかも聞いて下さい。その場合、1冊いくらを出版社に支払うのかも要確認事項です。
- 原稿を書く上で、担当者はどこまで内容にコミットしてくれるのか、も確認しましょう。(構成の良しあし、よりよくするための提案などまでしてくれるのか)。
3 どちらの場合でも必須のチェックポイント
- 事前に「出版契約」を結ぶのか確認してください。
- 上記で確認したことは全て契約書に盛り込むこと。契約書でなければ最低でも「覚書」を交わすこと。
- それを嫌がる、断る、避けたがる、言葉を濁す出版社とは絶対契約しないこと。
Ⅴ 詐欺に引っ掛からないためには「賢い著者」になるしかありません!
詐欺、トラブルにあって、大切なお金を何百万円も取られる。自分で全く満足できない本を出版することになる。
こういう不幸を避けるためには、以下の条件に合う出版社を選ぶことをおすすめします。
★信じられる出版社を見分ける8条件
- 担当者がウソをつかない。ネガティブな話はネガティブな話として正直に伝える
- あなたの原稿の良い点だけではなく、どこを直した方がいいということまで伝えてくれる
- 費用に関してごまかさずに細かく説明する
- 質問したことには全て明確に答える。分からないこと、その時次第であることは、そのままの事実を答える
- 出版をごり押ししない
- アイデアが豊富である
- 広告について(特にインターネット)詳しい
- 出版社だけではなく、読者としての目線も持っている。つまりマーケティングのセンスがある。