タイトルがあなたの本をヒットさせる~「商業出版のポイント」❺

タイトルの選び方で本が売れるかどうかが決まる

Ⅰ タイトルで売れる・売れないが決まる

商業出版において、タイトルは本の成功を左右する重要な要素です。タイトルは読者の注意を引き、彼らがその本を手に取るかどうかを決定づけるものです。どんなに素晴らしい内容であっても、タイトルが読者の心をつかまなければ、書店の棚やオンラインショップで埋もれてしまうでしょう。

特に本を購入する経路の60%は通販です。通販でも、若干の内容を説明する、試し読みするという機能はあります。しかし通販における書籍販売の最大のポイントは「面白そうなタイトル」なのです。これは従来の書店販売ではあり得ないことでした。しかし時代は変わっているのです。

本記事では、売れるタイトルを付けるためのポイントと実際の成功例を紹介し、効果的なタイトル作成の方法を探ります。

Ⅱ タイトル変更で成功した実際のケース

ある本が、初版ではあまり注目されなかったが、タイトルを変更した後に売り上げが急上昇したという事例があります。

「ハリー・ポッターと賢者の石」から「ハリー・ポッターと魔法の石」へ

英国では「ハリー・ポッターと賢者の石」というタイトルでしたが、米国版では「ハリー・ポッターと魔法の石」に変更され、これによりアメリカ市場での売上が大幅に増加したとされています。この事例は、英語圏の出版業界で非常に有名です。

「善なる者に」から「彼女が消えた夜」へ

アメリカの作家フィリップ・ロスの「善なる者に」(原題: When She Was Good)は、タイトルが「彼女が消えた夜」(原題: Out of Sight)に変更されたことで売上が上昇したという事例があります。この変更は、物語の内容をより明確に反映させ、読者の興味を引くことに成功しました。

「死者の奢り」から「新装版 死者の奢り」へ

日本の作家三島由紀夫の短編集「死者の奢り」は、新装版として再リリースされた際に「新装版 死者の奢り」とタイトルが変更され、再び注目を集めました。これは、タイトルに「新装版」を追加することで、既存のファンに新たな価値を訴求できた例です。

Ⅲ 調査データで示すタイトルの影響力

出版業界の調査によると、タイトルが販売に与える影響は非常に大きいことが明らかになっています。ある調査では、タイトルが購買意欲に与える影響は全体の60%以上という結果が出ています(出典: 出版マーケティング協会 2023年調査)。このデータからも、タイトルの重要性が浮き彫りになります。

Ⅳ 売れるタイトルを付けるためのポイント

1. 入れるべきワードの種類と具体的な語句

効果的なタイトルには、次のような種類のワードを含めることが推奨されます。

具体的な成果や利益を示すワード

読者のモチベーションを上げるためには、この本を持つとこれだけのメリットがある、ということを

伝えることが効果的です。

実例: 『7つの習慣 – 成功には原則があった!』

緊急性や限定性を感じさせるワード

この本を読まないとあなたに取って不利なこと、損をすることが起こるという示唆。逆に読めばすぐに効果が現れる、ということを示唆するワードです。

実例: 『たった1分で人生が変わる 片づけの習慣』

感情を揺さぶるワード

読者のもう一つの最大のモチベーションは「感動したい」ということです。そのため読後に感動が得られることをタイトルで示唆することが重要です。感情に直接訴えるワードを使うことでモチベーションを刺激できます。

例: 『のように生きる』(著者: 樋口了一)

数字や統計データを用いたワード

数字は本の内容の正確さを示します。あるいは読むことによって得られるメリット。読んで実行する上でのハードルの低さ。などを読者にイメージさせることができます。

実例: 『1日30分を続けなさい!』

ストーリーやビジュアルイメージを喚起するワード

タイトル自体が本の内容を可能な限り凝縮したものであれば、読者は購入の判断ができます。

実例: 『星の王子さま』

副題を活用する

タイトル自体は短くても、副題で具体的な内容やターゲット層にアピールすることができます。副題はタイトルを補完し、読者の理解を助けます。

例: 『嫌われる勇気 – 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(著者: 岸見一郎、古賀史健)

2. タイトルの文字数

タイトルの文字数は、読者が視覚的に捉えやすい範囲に収めることが重要です。

二字熟語(2〜4文字)

印象的で記憶に残りやすい

例: 『火花』(著者: 又吉直樹)、『告白』(著者: 湊かなえ)

○○の○○(5〜10文字)

どういう主人公か、どういう内容かをもっとも短く伝える

例: 『君の名は』(新海誠脚本・監督)。『思い出のマーニー』(著者:ジョーン・G・ロビンソン、アニメ版は米林宏昌監督)

長いタイトル(11文字以上)

タイトルの中でストーリーを語り、読者の興味を引く

例: 『そして、バトンは渡された』(著者:瀬尾まいこ。本屋大賞受賞)、『その日、世界は終わる』(原作:海野つなみのアニメ)

超・長いタイトル

まず表紙におけるタイトルの長さで目を引く。その上で内容も示唆して買う気を起こさせる。

例:『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(著者: 伏見つかさ)。『世界の中心で、愛を叫ぶ』(著者:片山恭一)

3. 今すぐタイトルに入れよう!消費者の読書欲を上げるワード

緊急性を感じさせる

  1. 「限定」: 希少価値をアピール
  2. 「簡単に」: ハードルの低さを示す
  3. 「絶対に」: 絶対的な信頼感を与える
  4. 「秘密」: 知りたくなる好奇心を煽る
  5. 「人生が変わる」: 大きな変化を約束
  6. 「ベスト」: 最高の選択肢を提示
  7. 「限定」:今すぐ行動しないと機会を逃すという緊急感を伝える。
  8. 「無料」:お得感を強調し、即座に興味を引く。
  9. 「簡単」:手軽さや実行の容易さを強調し、手に取りやすくする。
  10. 「実証済み」:信頼性を強化し、内容の信ぴょう性を高める。

具体的な成果や利益を示す

  1. 「成功」 – 成果を約束する言葉で、ポジティブな結果を期待させます。
  2. 「勝利」 – 努力が報われることを強調し、目標達成をイメージさせます。
  3. 「達成」 – 明確なゴールを設定し、読者に安心感を与えます。
  4. 「成長」 – 個人のスキルや知識が向上することを示唆します。
  5. 「変革」 – 何かを改善したり、新しい方向に導くことを伝えます。
  6. 「利益」 – 金銭的なリターンや投資効果を強調します。
  7. 「向上」 – 現状のレベルを引き上げることを約束します。
  8. 「突破」 – 困難を乗り越える力を強調し、勇気を与えます。
  9. 「倍増」 – 効果や成果が大幅に増加することを伝えます。
  10. 「簡単」 – 努力を最小限にして、結果を最大化することを伝えます。

読者の感情を刺激するワード

  1. 「共鳴」 読者が自分自身を投影し、深い理解や共感を呼び起こすテーマに使います。
  2. 「解放」 束縛やストレスからの解放を示し、自由や安心感を提供する感情を誘います。
  3. 「無垢」 純粋さや誠実さを表し、読者の内なる善良な部分に訴えかけます。
  4. 「高揚」 勝利や成功の瞬間に感じる興奮や喜びを伝え、達成感を喚起します。
  5. 「共感覚」 感覚を超えて心を繋げる概念で、他者との深い繋がりや理解を促します。
  6. 「再生」 失ったものや壊れたものが蘇ることを示し、希望や復活の感情を呼び起こします。
  7. 「静寂」 混乱の中での心の平穏や、内なる静けさを強調し、読者に落ち着きを提供します。
  8. 「憧憬」 遠い理想や手の届かない夢に対する憧れを呼び起こし、目指すべき未来を提示します。
  9. 「覚醒」 自己や世界への新しい理解や気づきを示し、意識の転換を促します。
  10. 「浄化」 負の感情や過去のトラウマからの解放を示し、新しいスタートへの希望を誘います。

数字や統計データを用いたワード(タイトル)

  1. 「たった5つの習慣で年収が20%アップする方法」:少ない数の習慣で大きな成果を強調しています。
  2. 「読者満足度97%!読んでよかったと思えるビジネス書10選」:高い満足度と厳選された本の数を組み合わせ、信頼性を強調。
  3. 「1000人の調査で判明!成功者が毎日欠かさない3つの行動」:大規模な調査に基づいた信頼できる情報を提示しています。
  4. 「30日で効果が出る!95%の人が続けた習慣」:短期間での効果と高い継続率を強調しています。
  5. 「平均5kg減!7日間でできる簡単ダイエット法」:短期間での効果と具体的な減量数を提示。
  6. 「100万人が選んだ!今すぐ読むべきベスト本ランキング」:多くの人が選んだという信頼性を持たせています。
  7. 「1億円以上を稼いだ起業家が実践する10のルール」:大きな金額と具体的なルールの数を示し、信頼性を持たせます。
  8. 「80%の人が見落とす!成果が出るプレゼンのコツ7選」:多くの人が見落としているという要素を強調。
  9. 「1日15分で英語力が劇的に向上する勉強法」:少ない時間で大きな効果が得られることを示します。
  10. 「顧客満足度98%!今すぐ試したいサービスランキング」:高い顧客満足度と具体的なサービスを提示して信頼性をアピールしています。

ストーリーやビジュアルイメージを喚起するワード

  1. 「虚無の風景」:空虚感や不確定な世界を示し、広がりのある幻想的なビジュアルをイメージさせます。
  2. 「夢幻の深淵」:幻想的な世界の奥深さを表現し、未知の神秘的な領域を引き起こします。
  3. 「時間の裂け目」:時間や現実が断裂する様子を示し、非現実的な出来事や空間の変化をイメージさせます。
  4. 「陰影の迷宮」:複雑な陰影や隠された部分が絡み合う様子を示し、心理的な探求や謎めいた状況を喚起します。
  5. 「深層の反響」:内面的な感情や記憶が響き合う様子を示し、深い感情的な反響を引き起こします。
  6. 「断絶の領域」:突然の終わりや分断された世界を示し、孤立感や劇的な変化をイメージさせます。
  7. 「錯綜の時空」:時間と空間が複雑に交錯する様子を示し、混沌としたビジュアルや状況を喚起します。
  8. 「未来の遺跡」:未来の未開の場所や古代のような遺物を示し、未来的で神秘的なビジュアルを引き起こします。
  9. 「光と影の交錯」:明るさと暗さが交錯する様子を示し、対照的なビジュアルや感情的な緊張感をイメージさせます。
  10. 「変容の瞬間」:物事が劇的に変わる瞬間を示し、変化や進化のビジュアルを引き起こします。

Ⅴ「タイトル」であなたの本へのモチベーションを高めよう

売れるタイトルを付けるためには、シンプルさ、感情への訴求、具体性が重要なポイントです。これらを意識することで、より多くの読者の心をつかむことができます。成功したタイトルの事例からも、その効果は明らかです。

原稿をどのようなタイトルを付けたらいいのか、このタイトルで読者が得らるのか、などのご相談があれば、ぜひこちらにご連絡してください。過去の事例もお示ししながら、よりよいタイトルをご提案します。もちろんタイトルだけではなく、原稿全体に関するご相談にもお応えします。

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