自費出版、商業出版の費用は?妥当性はどう判断する?

Ⅰ 出版業界は新しい著者を求め自費出版、商業出版を強化

1 自費出版希望者が増えている

近年、自分の本を出したいと考える人が増えています。理由の1つは、SNSなどの浸透、ZINEなどの簡易な出版形態が生まれたことです。それによって「情報を発信することが日常的に行われる」ようになったのです。もう1つは、誰でもアプリやサイトを使って、簡単に電子書籍が発行できる。などの仕組みで出版のハードルが下がったことが挙げられます。

2021年の全国出版協会の調査では、自費出版を考えている人の数が前年比で15%増加しています。(出典:日本出版業界統計2021)。

2 出版社も新しい著者を求めている

また公募ガイドの「今、アマチュアの著者が増えている理由」と言う記事にも注目です。アマチュア著者の増加とその背景として以下のことが挙げられています。(引用元:https://koubo.jp/article/23035

現在の出版市場では、1冊あたりの平均売上冊数が減少しています。どの会社もそれを出版点数で補っています。従って点数を増やすためには著者も増やさなければならなりません。そこでどの出版社も自費出版、持ち込みによる商業出版に積極的に取り組んでいます。そのためにコンクールの開催や自費出版専門部署の設置などを行っています。これらによって、プロ著者だけ相手にしていた出版社も「アマチュア著者」に注目しているのです。

つまり、自分の本を出したいという人にとって、今は追い風だと言うことです。

3 気になるのはその時の費用

追い風に乗って自分の原稿を本にする場合に、気になるのは費用でしょう。

本記事では、自費出版と商業出版で、著者自身の負担する費用について解説します。また、出版に関する詐欺にはどういうものがあるのか。請求額が妥当かどうかの判断基準。などについてもご紹介します。出版を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

Ⅱ 自費出版と商業出版で著者が出す費用

1 自費出版

⑴自費出版では、著者自身が負担する費用内訳

  • 印刷費: 本の冊数、ページ数、紙の種類などによって変動します。
  • 製本費: ソフトカバーかハードカバーか。箱入りにするか。モノクロかカラーか。帯を付けるか。栞紐の有無。などの製本方法によって変動します。
  • デザイン費: 表紙作成のためのイラストレータ、表紙デザイナーへの費用。本文のデザインや装丁をするデザイナーへの費用。
  • ISBN取得費用: 国際標準図書番号の取得費用。これは出版社として登録しなければ発行できない。
  • 流通費: 書店への納品および返品。オンライン書店への登録費用。
  • 宣伝費: 広告費や各出版社(書評担当)への献本などのPR費用。

ただし、自費出版だから費用は透明だと言うことは断言できません。自費出版でも様々な手口で著者が詐欺に合っています。その結果、多額で不要な費用を支払ってしまっている。と言うケースも最近は特に増えています。この具体的な話は後述します。

⑵著者の平均的な負担額

自費出版の場合、上で挙げた本の仕様によって負担する金額は大きく変わります。その平均的な例を示すと

  • 500部
  • 判型:四六判(通常の小説本の大きさ)※これより一回り大きなA5を選ぶ場合も多い
  • 250ページ(これ以上の厚さになると、もらった人の読む気が失せる。仮に店頭に置いても、厚さがハードルになって売れない)
  • ハードカバー
  • モノクロ印刷(ただし最初に自分の作品などを表示するカラーページを数ページ入れる)
  • 紙質:普通紙で120円/kg(標準的なコピー用紙程度の紙。そのほかカラーに適した用紙。全体のページ数が少ないために1枚当たりの厚さが大きい紙にする。詩集などには特に手漉き紙のような高級感のある紙を用いる。などで費用は増える)
  • 表紙は、出版社が抱えているデザイナーに、タイトルも含めてデザインを全て任せる。

このような場合、自費出版の費用は150万~300万円程度になります。

2 商業出版

⑴商業出版で、著者自身が負担する費用内訳

商業出版では、原則として著者が費用を負担する必要はありません。あくまで出版社がこの本は売れる、儲かると判断した時に行うのが商業出版だからです。

一方で「著者買取」と言う著者が出版費用の一部を負担することも常態化しています。これは出版された本の一部を著者が買い取ると言うことです。その本の代金が「著者買取」費用です。

しかしこの「著者買取」が出版社による著者への詐欺の温床になっています。消費者センターなどにはもこの件に関する相談や疑問が多く寄せられています。

⑵著者買取として請求される平均金額

これははっきり言って、出版社側で著者の支払い可能額を推測し請求して来ます。有体に言えば「お金がありそうな人」の場合は500万円前後、そうでない場合は100万円前後でしょう。

Ⅲ 著者が出す費用の使途

1 自費出版

自費出版で著者が出す費用は、本の制作、印刷、流通、宣伝などに直接的に使われます。費用対効果は、著者自身の販売努力や本の内容によって大きく左右されます。

2 商業出版(著者買取ありの場合)

商業出版で著者が出す「著者買取」の費用は、出版社によって使い方が異なります。一般的には、以下の項目に使われることが多いとされています。

  1. 印刷費: 著者買い取った部数の印刷費用。
  2. 製本費: 著者買い取った部数の製本費用。
  3. 流通費: 書店への納品やオンライン書店への登録費用。
  4. 宣伝費: 著者買い取った部数に対する宣伝費用。
  5. 出版社の利益: 一部が出版社の利益となる可能性があります。

しかし、実際の使途の内訳が出版社から明確に開示されるケースはほとんどありません。特に問題なのは5の「出版社の利益」になっている、というケースです。これは完全に詐欺行為なので、詳しく後述します。

Ⅳ 出版に関する詐欺

1 商業出版で行われている詐欺

出版業界には、残念ながら以下のような詐欺も存在します。

  1. 高額な著者買取: 出版社が著者に高額な著者買取を要求し、別の用途に流用するケース
  2. 権利の侵害: 出版社が「著者買取」を理由に、著者の著作権を侵害するケース
  3. 虚偽の売上報告: 出版社が実売上よりも少なく報告し、著者への印税をごまかすケース。

2 自費出版で「出版費用」以外に企てられる詐欺

自費出版は本が全て自宅に送られて来るので詐欺の入り様がないと思っていませんか。しかし実は、自費出版でも以下のような詐欺が発生しているのです。

①「先生」に要注意

自費出版を考える方の中には、市民講座やカルチャーセンター、あるいは作家(と自称する人)が主催する「エッセー講座」などに参加している場合も多いでしょう。そこには「先生」がいます。この「先生」が間に入って以下のような詐欺を企てるケースも散見されるのです。

②「先生」が薦める自費出版会社に要注意

「あなたの作品は素晴らしい」と実際以上に褒めて「これは世間に出さないともったいない」と自費出版をすすめる。そしてその際に自費出版社を紹介する。そこでそこに発注すると、その裏では支払った自費出版費用から「先生」への「バックマージン」が発生している。

③「出版記念パーティ」などは必要ない

「出版したら記念パーティをするのが普通だ」とパーティの実施をすすめる。そして「懇意にしているホテルがあるので、自分が口を利けば安く開催できる」と言って、ホテルを紹介して来る。すると必要以上に豪華な会場、豪華なオードブル、アルコールの飲み放題、お土産付きなどが提案される。仮に「これが豪華すぎるのでは」と「先生」に聞くと「これくらい普通で、誰もやっている」と言われる。そしてこのパーティに支払った費用の一部が、やはり「先生」のバックマージンになる。

このように、自費出版も信頼できる出版社以外の人の言う通りに行い、自分で金額の妥当性などを確認しないと、大きな詐欺被害もあう危険性があるのです。

3 要注意な「著者買取」

特に注意したいのが、1の「著者買取」を悪用した詐欺です。その手口は以下の通りです。

①「著者買取」詐欺の手口

  1. 編集部内の「企画会議」で提案してみるので、「企画書」を書くように指示される
  2. 「企画書」の書き方など分からないが、ネットなどを参考にしながら作成し、取り合えず提出する
  3. 担当者から「企画会議で評価は高かったのだが、読者数が少なそうなので見送ろうという話になった」と報告される。
  4. がっかりしていると、担当者が「ただ1つ方法がある」と言われ「著者買取」を提案される。その場合も明確に①「出版した本の一部を買い取ってほしい」という言い方と、②「出版費用を一部負担してほしい」と言う言い方がある。
  5. その際に提示される金額は上記のように、著者の懐具合を見て100万~500万円となることが多い。

②詐欺にあったかどうかの確認方法

こうして著者買取をして本が出版された時に、

①であれば、自分の買い取った本という具体的な成果物が、多分段ボールで自宅に届く。従って、一応「実際に出版した」という確認は取れる(しかし「著者買取分」しか印刷していない場合もあり得る)

②の場合は「どの費用に充当させたのか」という問いに明解に答えられない場合が多い。

③このような話が出たらアウト!詐欺犯の言い訳ワード

答えがあったとしても以下のように、肝心なところを曖昧にした答えしか返って来ない。

  • 宣伝費にした:しかしどの宣伝(SNS広告、ネット広告、雑誌広告など)を行い、その効果がどうだったのかは答えられない(少なくとも本当はSNS広告、ネット広告は明確な宣伝効果が数字で出るはず)。
  • 全国の書店に配架するために1000部刷ったので、その印刷費用に充当させた:その場合に、書店別配架数を確認する権利が著者にはあるが、それを要求しても言を左右して絶対に出せない。なぜなら、書店に配架などしていないからである。あるいは店頭に積まれている写真などを証拠として見せて来る場合もあるが、それも全国1万店舗の書店のうち配架したのは、わずか十数店舗かも知れない。
  • 出版する費用全体の中に含んでいるので、何に使ったと言うことは明確には言えない:これは著者から「著者買取」と言う形の「出資」を受けた上での答えとしては非常にいい加減であり、最低限の義務を果たしていない。こういう場合に最悪考えられるのは「全く印刷していない」ということである。そうすると出版社にとって支出は0円で、著者買取の数百万円が丸々収入になる。

これらは実際に会った詐欺行為をもとに」記載しています。つまり「著者買取」を持ち出してくる出版社は、その時点で8割方詐欺を企てている、と考えていいでしょう。

Ⅴ 妥当な金額で自費出版、商業出版を行うために

妥当な金額を支払うために、以下の点に注意しましょう。

  • 複数の出版社に見積もりを取る: 複数の出版社に見積もりを取ることで、相場を把握することができます。
  • 出版前に「出版契約」を締結する:出版業界の悪弊ですが、出版に関して契約を結ばない出版社も実に多いです。仮に結んだとしても、すでに出版が始まってから、と言うケースも多々あります。これでは契約する意味がありませんから、必ず出版前に契約書案を提示してもらい、内容をしっかり読んで納得した上で契約しましょう。
  • 契約内容をしっかりと確認する: 契約書には、印税率、版権、支払い条件、著者買取の条件などが細かく記載されています。契約書の内容をしっかりと確認し、不明な点は弁護士など専門家に相談するようにしましょう。
  • 口コミや評判を調べる: 出版社や印刷会社を選ぶ際は、口コミや評判を参考にしましょう。公募ガイドなどの情報サイトで、出版社や印刷会社の評判を調べることができます。
  • 専門家に相談する: 出版に関する知識がない場合は、専門家に相談することも検討しましょう。

Ⅵ 誠実な「出版サポート」を利用すれば、妥当で合理的な費用で本が出版できる

以上のように、自費出版、商業出版の平均的な費用と、その裏にある詐欺の危険性についてご紹介しました。

詐欺にあわない最適な方法は2つあります。

  1. 自分で費用の使途の内訳を全て確認し、実施後の書面での報告を出版社に義務付ける。それを契約書に盛り込む。
  2. 詐欺の入る余地が全くないガラス張りの料金体系で営業している出版社を選択する。

1 すべて自分で確認する場合

①ができる人はわずか

ができれば最も望ましいですが、相手もプロですし何人もの著者を騙しているのでごまかすことも上手い場合も多いです。それに対して、自分の権利を守るには、ある程度の法律知識と、疑問点は全て確認するための相当な努力が必要でしょう。

②信用できる出版社をどう探せばいいのか

⑴著者様の要望ごとの費用を明示しています。

一方で②はその会社の公式サイトなどを確認して、ガラス張りの料金体系になっているか確認すれば、できることです。

たとえば私たち、クリエイティブ集団COW AND CATはこちらのページをご覧いただければ、たとえば「校正をした場合の1ページ当たりの費用」「本全体の構成などを見直す費用」「文章の構成や書き方を分かりやすく修正する費用」などがすべてガラス張りでご提示しています。なおかつ、最低限の「Amazon用の完全原稿(校正などが必要ない)で入稿する」場合は、わずか5万円の料金しかいただきません。それ以外は全く不要で、むしろ表紙デザインはこの5万円でさせていただくほどです。

ですから、安く、なおかつ「詐欺にあわない」で出版したい方には、ぜひおすすめしたい方法です。ガラス張りの出版費用をご覧になりたい方はぜひこちらをクリックしてください。

⑵0から一緒に本を創ることも可能です

また逆に、「現在は漠然としたアイデアしかない」場合でも、一緒にそれを「企画」にし「構成」として組み立てます。さらに「言いたいこと」のインタビューをしてそれを原稿に起こすことまですることも可能です。つまりアイデアさえあれば、それを育てて本にするという至れり尽くせりのサポートもできるわけです。

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結論

自費出版、商業出版で著者が出す費用は、出版形態や出版社によって大きく異なります。特に商業出版の「著者買取」に関しては、費用対効果が不透明なケースも多く、注意が必要です。出版は、夢を叶える素晴らしい経験となるでしょう。しかし、費用面でのリスクも伴います。この記事を参考に、慎重に計画を進めてください。

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