商業出版と自費出版の違い、そのメリットとデメリット
はじめに
書籍を出版することは多くの著者にとって夢の一つです。しかし、出版方法を選ぶ際に、多くの選択肢があります。特に、商業出版と自費出版のどちらを選ぶべきかは重要な決断です。それぞれの方法には独自のメリットとデメリットがあり、著者の目標や状況に応じて最適な選択が異なります。
商業出版と自費出版の違い
商業出版
出版社が書籍の出版を担当し、著者に対して契約を提供する形式の出版が商業出版です。出版社がすべての費用を負担し、編集、デザイン、マーケティング、配布などを行います。著者は通常、出版契約に基づいて前払い金(アドバンス)を受け取り、その後の売上に応じてロイヤリティを受け取ります。
自費出版
自費出版とは、著者が自らの費用で書籍を出版する形式です。著者は編集、デザイン、印刷、配布、マーケティングのすべてを自ら行うか、これらのサービスを提供する会社に依頼します。自費出版の場合、著者は売上の全額を受け取ることができる一方で、初期投資が必要です。
商業出版のメリットとデメリット
メリット
- 費用負担なし: 商業出版では、出版社がすべての出版費用を負担します。これには編集、デザイン、印刷、マーケティング、配布などが含まれます。著者は金銭的リスクを負わずに出版を実現できます。
- プロの支援: 出版社にはプロの編集者、デザイナー、マーケッターがいます。これにより、書籍の品質が保証され、効果的なマーケティングが行われます。プロフェッショナルなサポートは、書籍の成功に大きく寄与します。
- 広範な配架体制: 商業出版社は広範な配架チャネルを持っています。書籍が書店やオンラインストアで広く販売される可能性が高まります。また、書店での棚スペースも確保しやすくなります。
- 信頼性と権威: 商業出版された書籍は、読者や業界内で信頼性と権威を持ちやすいです。出版社のブランド力が書籍の信頼性を高め、読者からの評価も高くなります。
デメリット
著者の権利の制限
商業出版では、出版社が著作権を保有する場合があります。これにより、著者が自分の作品を自由に利用できないことがあります。また、将来的な出版契約にも影響を与える可能性があります。
低いロイヤリティ率
商業出版では、ロイヤリティ率(いわゆる「印税」)が低いのが一般的です。通常、ロイヤリティは書籍の売上の5%程度です。
出版の遅延
商業出版のプロセスは複雑で時間がかかることがあります。原稿が完成してから出版されるまでに数ヶ月から1年以上かかることもあります。出版社のスケジュールに従う必要があり、著者のコントロールが制限されます。
選ばれる可能性の低さ
商業出版社は多数の原稿を受け取りますが、すべてを出版するわけではありません。競争が激しく、出版契約を得ることは難しい場合があります。出版社が求める内容や市場性が重要な要素となります。
作品の価値を正当に評価されない危険性
出版社によっては作品の本当の価値を見極められず、短期的なレンジで売れるか売れないかだけで判断する可能性があります。その場合、出版を拒否される可能性もあります。あるいは企画を通す基準を著者の「販売力」に置く傾向があります。「販売力」とは、著者のSNSのフォロワー数、著者の抱える見込み客数(講座の生徒数、経営する企業の従業員数)、著名人に知り合いがいて紹介依頼が可能か、などがそれです。
「著者買取」という名のサギ
これは非常にシリアスなデメリットなので、以下に項目を立てて詳細にご紹介します。
要注意!著者買取とは何か?
著者買取とは?
出版社が著者に一定数の書籍を自費で購入するよう求めることが著者買取です。この方式では、自分の分の販売は本人の責任です。一定の部数を購入して自ら販売したり、宣伝活動を行う必要があります。
著者買取の危険性
高額な初期投資
著者買取は、著者にとって大きな経済的負担となることがあります。その金額は数十万円から数百万円に及ぶことがあります。この投資はほぼ回収できない可能性が高いです。
在庫リスク
購入した書籍の在庫管理や保管は著者の責任となります。売れ残った書籍が大量に残ると、その保管や管理に追加のコストや手間がかかります。同時に書籍の経年劣化によって販売できない状態になれば、廃棄の費用もかかります。
販売の難しさ
買い取った書籍は著者が自ら販売する必要があります。しかし広範な人脈などがない場合、書籍を売り切ることはほぼ無理でしょう。結果的にほとんどが自己負担になってしまいます。
マーケティングの負担
自分で書籍の宣伝やプロモーション活動を行う必要があります。これには時間と労力と資金が必要です。プロフェッショナルなマーケティング戦略がないと、効果的な宣伝ができません。当然、売上も伸びません。そればかりかプロモーション費用が全く無駄になってしまうことが多いです。
信頼性の問題
著者買取方式を採用する出版社は、必ずしも信頼性が高いとは限りません。一部の出版社は、この方式で著者から金銭を巻き上げることを仕事にしています。信頼性の低い出版社と契約するリスクがあります。
具体的な著者買取のトラブル
- ケース1: 出版社が著者に500部の購入を求め、費用は300万円。著者は宣伝活動に時間とお金を費やした。しかし200部しか売れず、残りの在庫を抱えて損失を被った。
- ケース2: 出版社が著者に1000部の購入を要求した。総額で600万円である。著者は書籍の販売できなかった。そればかりか在庫を保管するスペースがなく、書籍が劣化して価値を失った。
- ケース3: 著者が出版社と契約し、300部を100万円で購入。販売促進のためにさらに30万円を投資した。しかし書籍の売上はわずか50部にとどまり、大きな損失を出した。
著者へのアドバイス
契約内容の確認
出版契約を結ぶ前に、契約内容を十分に確認しましょう。特に著者買取に関する条項を注意深く読み、理解することが重要です。弁護士など専門家に相談することも検討してください。ただし事前に契約を結ぶ出版社はごくわずかだという現実もあります。そのような出版社は、契約書を作成したとしても、その後必ず著者を騙します。契約しない方が賢明でしょう。
信頼できる出版社を選ぶ
出版社の信頼性を確認し、評判や過去の実績を調べることが大切です。口コミやレビュー、他の著者の経験談を参考にしましょう。そして、信頼できる出版社を探すしかありません。
マーケティング戦略の計画
著者買取を受け容れて出版する場合、効果的なマーケティング戦略を立てることが重要です。販売チャネル、プロモーション活動、ターゲット市場などを事前に計画し、準備を整えてから出版に臨みましょう。
リスクの評価
著者買取分の書籍は、まずほとんど自分ではさばけない、と考えた方が良いでしょう。その時の費用負担に自分が耐えられるのか。そこまでの金銭的負担をしてまでその出版社で出版をするべきなのか、ということをしっかり考えましょう。
自己研鑽
全ての問題は自分の書籍が「売れる」ことで解消できます。自分の書きたいことを書くと同時に、それをいかに売れる要素を加えて書籍化するか、というためにマーケティングや販売に関する知識を身につけることも大切です。出版業界のトレンドや効果的な販売方法について学び、自分のスキルを高めることで、成功の確率を上げることができます。
商業出版の具体例
- ベストセラー著者: 有名な著者が商業出版を選び、ベストセラーを達成した例があります。例えば、ハリー・ポッターシリーズのJ.K.ローリングは、商業出版社との契約を通じて世界的な成功を収めました。
- 新人著者: 初めての出版で商業出版社に採用された新人著者の例もあります。新人著者が商業出版を通じてデビューし、成功を収めることは珍しくありません。例えば、スティーヴン・キングも初めての出版は商業出版社を通じて行われました。
- 専門書の出版: 特定の専門分野での信頼性を得るために商業出版を選んだ著者の例もあります。学術書や専門書は、商業出版社を通じて出版されることで信頼性が高まり、専門家や研究者からの評価も高くなります。
商業出版のメリットとデメリットを理解することで、著者は自分に最適な出版方法を選ぶための判断材料を得ることができます。それぞれの状況や目標に応じて、最適な選択を行うことが重要です。
自費出版のメリットとデメリット
メリット
- 完全なコントロール: 自費出版では、著者が出版プロセスのすべてをコントロールできます。内容、デザイン、価格、配布方法など、すべての決定権が著者にあります。これにより、自分のビジョンを忠実に反映した書籍を作成することができます。
- 高い収益性: 自費出版では、売上の全額を著者が受け取ることができます。商業出版に比べてロイヤリティが高く、成功すれば著者の収益が大きくなる可能性があります。特に自己ブランディングが確立している場合、収益性が非常に高くなります。
- 迅速な出版: 自費出版は、著者のスケジュールに従って迅速に出版することが可能です。商業出版のように長い承認プロセスを経る必要がないため、原稿が完成したらすぐに出版できます。これにより、市場のトレンドに迅速に対応することができます。
- クリエイティブな自由: 自費出版では、著者がクリエイティブな自由を持つことができます。内容やデザインについて自由に決定でき、独自のアイデアを実現することが可能です。また、特定のニッチ市場や専門分野に特化した書籍を出版することも容易です。
デメリット
初期費用
自費出版では、出版にかかるすべての費用を著者が負担する必要があります。これには編集、デザイン、印刷、マーケティング、配布などの費用が含まれます。初期投資が大きく、リスクを伴います。
自己宣伝の必要性
自費出版では、マーケティングや配布を自ら行う必要があります。自己宣伝やマーケティングのスキルが求められ、これに時間と労力を費やす必要があります。効果的なマーケティング戦略がないと、売上が期待外れになることがあります。
信頼性の低さ
自費出版は商業出版に比べて信頼性が低いと見なされることがあります。読者や書店からの評価が厳しく、書籍の信頼性を確立するのが難しい場合があります。特に、新人著者にとってはこの点が大きな障害となることがあります。
専門知識の欠如
編集やデザインの専門知識がない場合、書籍の品質に影響を与えることがあります。プロフェッショナルなサポートがないため、書籍の完成度が低くなるリスクがあります。また、自費出版サービスを利用する場合でも、選択するサービスの質に依存します。
「自費出版サギ」の存在
文芸サークルには落とし穴が
例としてはそれほど多くはありませんが、自費出版をしようとする著者の意欲を利用してサギを働く人間がいることも事実です。
たとえば、市で行っている有料の文芸サークルや、作家や元大学教授を講師にした私的な文芸サークルがその温床になります。
その講師は、素直でお金を持っていそうな生徒に狙いをつけて、作品を本来の価値以上に褒めちぎります。その上で「著者の書籍は多くの人に読んでもらう価値がある。同時に、多くの人がお金を払っても買うだろう」と断言します。
自費出版を餌にサギが始まる
著者が、自費出版をする気になると、自分が懇意にしている優秀な自費出版社を紹介しようと親切に言います。そして贅沢で豪華な装丁を「一生に一度だから」と勧めます。その出版社は裏で講師と繋がっていて、その著者の自費出版代から何十%をキックバックしているのです。
さらにより悪質になると、講師は著者に「せっかくこんないい本を出したのだから、出版パーティしよう」と提案します。その殺し文句は同様に「一生に一度のことだから」です。
出版パーティをする会場も講師の懇意にしているところです。「ここなら顔が利くから安くさせることができるよ」というかも知れません。しかし自費出版社同様、このパーティ会場も講師と裏で繋がっていて、パーティ費用の何十%かを公式キックバックするのです。
ここまでひどい例はほとんどありませんが、しかし自費出版という「道楽」は、どうしても支出に対してアバウトになりがちです。その心の隙間をこのような詐欺師が狙っているのです。
自費出版の詳細な例
- インディペンデント著者: 自費出版で成功を収めたインディペンデント著者の例があります。例えば、E.L.ジェームズの「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」は、元々は自費出版としてスタートし、その後、商業出版に転換されて大成功を収めました。
- 特定のコミュニティ向けの書籍: 自費出版は、特定のニッチ市場やコミュニティ向けの書籍を出版するのに適しています。例えば、地域の歴史や特定の趣味に関する書籍は、自費出版で成功することが多いです。
- 自己啓発書の出版: 自費出版は、自己啓発書の著者にとっても有利です。自己啓発書は、自らの経験や知識をもとに書かれることが多く、自費出版で独自の視点を反映させることができます。
まとめ
商業出版と自費出版の違い、それぞれのメリットとデメリットを理解することは、出版を目指す著者にとって重要です。適切な出版方法を選ぶためには、自分の目標や予算を考慮し、慎重に判断することが必要です。
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