オリジナリティのある企画を考え売れる原稿を書くには?
Ⅰ オリジナリティが求められる創作作家の共通の悩み
オリジナリティの問題は文芸だけではありません。工芸作家を含め、あらゆる創作家を悩ませる問題です。
ある工芸作家さんの悩み
レジンを主に使ったアクセサリーを販売し、約1年半が過ぎました。
3ヶ月目で初めて売れてからポツポツと細々と売れるときもあります。しかし私は他に本業もあるのでなかなかアクセサリー制作に集中できていません。ものをつくること、形にすることが大好きでアクセサリー制作を続けています。
たくさんアイデアは浮かぶのに集中できる時間がとれません。あれもつくってみたい、これもつくってみたい。となかなか1つのものが完成するまで漕ぎ着けることができません。そして他の作家さんの作品を見て「私もこんな感じのがつくりたかったんだよなぁ…」。と思うものを(他の作家さんが)既に作品にして販売されていることもあります。すると自分がそれを真似してつくっているような気がしてしまいます。自分はこの仕事に向いているのか、とモチベ―ションも下がってしまいます。
つくりたいのにつくる時間がとれないストレス。でも本業の方が稼げるからアクセサリー制作は二の次。私はアクセサリー作家で本業になりたいと思っているのに真から取り組めない…。
いいねはつくけど購入までにはなかなか至らない。私は自分の中で絶対かわいい! と思うものを販売しているのに結果につながらない。私は何をしたいんだろうと方向性も分からなくなってきました。やめた方がいいのでしょうか。(minne GMOパペポ株式会社)
創作を志す人間が必ずぶつかる問題
このような悩みは、工芸作家さんに限らりません。文芸や絵画など、全ての「創作」に取り組む人にとって共通のものではないでしょうか。
オリジナリティがなければ、どの商品を購入してもいいのです。その大量な商品や作品の中から自分のものを選んでもらう。そのためには、購入者とあなたの作品が見えない線で繋がることが重要です。それがオリジナリティなのです。
そこでここでは「どうしたらオリジナリティのある発想、テーマを思い付くか」。という問題について考えてみたいと思います。
Ⅱ オリジナリティのある本で商業出版を目指す作者の悩み
実際、商業作家を目指す方が私のところにご相談のメールを色々といただきます。その内容はだいたい、以下のものに集約するに思います。
- 「自分の物語が面白くないのではないか」
- 「他の人と似たような物語になってしまうのではないか」
- 「読者に共感してもらえないのではないか」
- 「書き方が下手で、プロの目に見てもらえないのではないか」
- 「出版業界の仕組みが複雑で、どこから手を付けていいのか分からない」
自分の原稿を出版しようとしている人にとっては思い当たるはずです。
この中でも、今回は特に「他の人と似たような物語になってしまうのではないか」。と悩んでいる方へに対してアドバイスをしようと思います。なぜこれを選んだのでしょうか。それはこの問題がクリアされればほかの4つの多くの部分も解決すると思うからです。
つまりやはり最大のポイントは「オリジナリティ」なのです。それさえあれば、多少文章が荒々しい。展開に矛盾がある。そんな問題はいくらでも修正できます。しかしオリジナリティがないことは、どう直しても「二番煎じ」なのです。
ではオリジナリティを生み出すにはどのようなことを行えばいいのでしょうか。
Ⅲ オリジナリティを生み出すための具体的な行動
1 考え方のプロセスを深掘りする
①既存の知識との衝突
自分が知っていることと、新しく得た情報や概念をぶつけてみましょう。例えば、科学的な事実と神話、歴史と未来、といったように全く異なるものを組み合わせることで、斬新なアイデアが生まれることがあります。たとえば、通勤電車での会話や、ふと目にした風景が物語の種になるかもしれません。
②逆説の追求
「もしも~だったら」という仮定を立て、常識を覆すような発想をしてみましょう。例えば、「猫が人間だったら?」「植物が会話できたら?」など、ありえないことを想像することで、新しい視点が開けることがあります。忘れかけていた記憶を掘り起こし、新たな視点で捉え直してみましょう。
③抽象化と具体化
抽象的な概念を具体的なイメージに置き換えたり、逆に具体的なものを抽象的な概念に置き換えたりすることで、新たな解釈を生み出せます。例えば、「愛」という抽象的な概念を「光」や「熱」といった具体的なものに置き換えて考えてみましょう。
2 ヒントを見つける感性を磨く
①五感を研ぎ澄ます
日常の風景、音、匂い、味、触感など、五感で感じるすべてのものに意識を向けてみましょう。例えば、雨の音を聴きながら、どんな感情が湧き上がるか、どんな物語が思い浮かぶかなどを考えてみましょう。
②雑多な分野の知識を吸収して組み合わせる
普段自分が興味を持っている分野だけでなく、全く異なる分野の知識や情報を積極的に取り入れることで、新しい視点を得られます。例えば、科学と芸術、歴史とSF、といったように、一見関係のない分野を結びつけることで、ユニークなアイデアが生まれることがあります。社会問題や科学的な発見など、世の中の動きからインスピレーションを得ることもできます。
③辞書からランダムに言葉を抽出する
辞書や雑誌などからランダムに言葉や画像を選び、それらを組み合わせて新たな概念を生み出す「コラージュ」のような手法も有効です。
3 物ごとを多角的に見る
①視点の移動
物語の登場人物になりきって物語を再構成したり、物語の舞台を別の場所に移動させてみたりすることで、新たな解釈が生まれることがあります。
②時間の移動
過去、現在、未来、あるいは架空の時間軸を舞台に物語を展開させることで、物語に奥行きを持たせることができます。
③スケールの変化
ミクロの世界からマクロの世界まで、様々なスケールで物語を描くことで、多様な視点から物語を捉えることができます。
4 実践的なアイデア出し手法
①ブレインストーミング
ブレインストーミングとは、ブレイン(=脳)ストーミング(=嵐)ですから、頭の中を嵐が吹き荒れているように、形にとらわれず急回転させ、思いもよらないアイデアを生み出す発想方法です。
本来は複数の人間でするものですが、慣れれば1人でもできます。
方法は以下のようなものです。
1 テーマを決める
まずテーマを決めます。これはなるべくアバウトにしましょう。「今、ウケる小説とは」では直接的過ぎます。「今、人が面白いと思うもの、思うことはくらいでちょうどよいでしょう。
2 質より量
いちいち思いつきを検討してはいけません。検討はあとの話です。ここでは、脳が勝手にアウトプットすることを、どんどんと書いていきましょう。書くスピードより思いつきの方が早くなるようなら、録音してもOKです。
3 NGなし
「こんなこと非常識だよな」というように、思いつきを否定するのは、その内容がどのようなものであってもNGです。全ての思いつきを受け容れ、その思いつきから連想したまた別の連想があれば、それも記録しましょう。
3 楽しく自由にアイデアを出す
特に何人かでブレーンストーミングをする時ですが、悩んだり、深刻になってはいけません。ゲームのように楽しく実施しましょう。1人の時も同じです。できれば好きな音楽、それもアップビートの曲をかけて、踊りながらの気分で自由に発想しましょう。
4 アイデアをまとめる
ブレインストーミングの時間は最大で10分ほどです。それ以上は惰性になりますから集中して10分だけ行いましょう。
そして出てきた思いつきを、共通する要素でまとめ、あるいは関連付けてみましょう。すると、思いがけけないアイデアが目の前に現れることが非常に多いのです。
②マインドマップ
これも「自由に発想する」点ではブレーンストーミングと似ています。ただブレーンストーミングほど脳を急回転させずに、塗り絵を楽しむように、思いつきを連想して行く方法です。方法は以下のようなものです。
1 テーマを中央に書く
まずA4より大きな紙を用意し、中央に「テーマ」を書きましょう。たとえば「無人島に流された話」のような、非常に大まかな作品のテーマでもいいですし、「AIが進化した2050年の生活」でもいいでしょう。
2 それに関連する単語を加える
そのテーマから思い付くサブテーマ、あるいは言葉をテーマから線を引いて描きます。今「書く」ではなく「描く」としたように、絵を描くような自由な気分で行いましょう。
3 色やイラストもOK
思い付いたことを文字で整理しなくても、イラストで描いてもOKですし、他と違った線で「ここは自分の気持ちだから青」のように表現するのもOKです。
4 ひと通り書いたら整理する
ひと通り思いつきを書いたら整理してみましょう。たとえばテーマの大きさ、実行することと考えること、順番など整理しながら、マインドマップの上で書き直していくのです。そうすると、頭の中で混然としていた考えが、ストーリーを持って目の前に現れます。
③六帽子法
六帽子法とは「シックスハット法」とも言われますが、ブレーンストーミングをもう少し整理した形で行う方法です。
具体的には、6つの観点でテーマに関して思い付くことを挙げていく方法です。
その6つとは、客観・直感・否定・肯定・創造・俯瞰です。
つまり、最初はそのテーマを客観的に考えた時にどのようなことが言えるか、次に直感的に思いつくことは何か、というように順々に視点を変えながらテーマを膨らませて行きます。そしてブレーンストーミングと同じように、最後に整理します。
④SCAMPER法
SCAMPER法とは③の六帽子法と似たもので、客観・直観・・・など視点を変える代わりに、テーマそのものを置換、結合、応用、修正、逆転、除去、再配置によって、違う要素を引き出す方法です。たとえば「置換」で「無人島に流された時」というテーマを考える場合は「無人島」を「知らない惑星」にしてみて、そうだとしたらどのようなことが起こるかなどを発想します。
5 オリジナリティのある発想力を鍛えるために
①インプットを増やす
読書、映画鑑賞、美術館巡りなど、様々な文化に触れることで、感性を磨き、インスピレーションを得ることができます。
②アウトプットを習慣化する
毎日日記を書いたり、短編小説を書いたりすることで、創造性を鍛えることができます。
③他の作家やアーティストの作品に触れる
他の作家やアーティストの作品から学ぶことは、自分の創作活動に大きな影響を与えます。
Ⅳ あなたの想いをオリジナリティあるものに変換します
オリジナリティというと、誰も考えたことがない、突飛なものでなければならないような気がしてしまいます。
しかしそうではありません。たとえば夏目漱石の名作「吾輩は猫である」は、ただの漱石の日常の感想や社会批判を、「の子の目を通して語る」というだけで、オリジナリティを獲得しているものです。
つまり、どのようなありふれたように思えるテーマや内容でも、視点を変える、別の要素を入れるだけでオリジナリティあふれるものになり得るのです。
自分1人でそれがむずかしいという方は、ぜひ私たちクリエイティブ集団COW AND CATにご相談ください。あなたの想いを「誰にも考え付かなかった」想いにアレンジするサポートを致します。ぜひこちらからご相談ください。
また私たちのそのような「出版サポート」がどのようなものなのか、ということはこちらをぜひ参照ください。著者様の想いを無理やり変えてオリジナリティのあるものにするのではなく、思いに寄り添いながら、誰にも考え付かなかった切り口で語り直す私たちのサポートの仕方をご覧いただけると思います。リンクはこちらです。
ぜひ私たちと一緒に、誰とも違うオリジナリティの溢れる物語、想い、考察を形にした出版をしましょう。ご連絡をお待ちしています。