ネットでは「表紙」が本の売上を決める~商業出版のポイント➏

Ⅰ はじめに

今や本の購入方法は書店からオンライン通販へと大きくシフトしています。近年の調査によれば、オンラインでの書籍購入は約60%を占めるようになっています(Statista, 2023)。つまり、書店で立ち読みして表紙に惹かれる機会が減少し、ネット上での「視覚的なインパクト」がますます重要になっています。本の表紙は、読者に瞬時に興味を持たせ、購入への決断を促す役割を果たすため、ヒット作を生み出すには欠かせない要素です。

Ⅱ ネット書店で目立つ表紙の特徴

オンライン書店では、限られたスペースに表示される表紙で購入者の注意を引く必要があります。以下は、ネット書店で効果的な表紙デザインの特徴です。

1 一目で本の内容がわかる表紙

「1Q84」はシンプルな表紙で売れた。

シンプルかつ明確なデザイン複雑すぎず、一目で内容が伝わるデザインが重要です。例えば、村上春樹の「1Q84」シリーズは、シンプルな数字とモチーフが強い印象を与えました。

2 読者ターゲットの感情を揺さぶる表紙の配色

嫌われる勇気は内容に合った色使いの表紙で売れた

ターゲット読者に響く色使い読者層に合わせた配色は、感情に訴える力があります。ビジネス書でよく見られる青や黒のシックな配色は、知的で信頼感を与えます。例として、『嫌われる勇気』は、心理学に関連した落ち着いたデザインが支持されました。

3 タイトルの視認性の高い表紙

夢をかなえる象はインパクトのある表紙で売れた

タイトルの視認性画面上での縮小表示でも読めるよう、大きくはっきりとしたフォントを使いましょう。例えば、自己啓発書『夢をかなえるゾウ』の表紙は、インパクトのあるフォントで目を引きます。

Ⅲ デザイナーに表紙を依頼する際の注意点

効果的な表紙デザインを実現するためには、デザイナーへの意思疎通が重要。依頼時には必ず伝えるべきポイントがあります。

1 ターゲット読者層の明示する

読者層に合ったデザインを依頼することで、表紙が読者の心に響きます。読者の年齢層、性別、興味などを詳細に説明しましょう。

2 タイトルは目立つように

タイトルが目立つようにデザインされるかは、売れ行きに大きく影響します。特にオンライン表示でタイトルがしっかり読めることを強調するべきです。

3 競合書籍を示す

同じジャンルの人気書籍の表紙をデザイナーに示しましょう。それを参考にしつつ、差別化を図るための工夫を依頼しましょう。

Ⅳ 売れる本にするための表紙デザイナーに伝えること

売れる本にするためには表紙デザインが勝負。表紙デザイナーへ発注する際には、以下の項目を明確に伝えることが重要です。

1. ターゲット読者層は誰か?

  • 年齢、性別、職業、趣味など、想定する読者像を具体的に伝えます。それによってデザインが読者の感性に合うようになります。

2. 本の内容やテーマは何か?

  • 本のジャンルやストーリー、メインメッセージを簡潔に説明します。それを表紙でどう表現するかを相談し、アイデアを出してもらいしょう。

3. 競合書籍はこれだ!

  • 競合する書籍の表紙デザインの例を示します。「これに勝てる表紙」にするための改善点や差別化ポイントを出してもらいましょう。

4. タイトルとサブタイトルが目立つように!

  • タイトルやサブタイトルが目立つことが命です。そのための視認性を上げるためにどのフォントの使用するかを明確に指示しましょう。

5. ターゲットに合った色使いを!

  • ターゲット読者に合った色使いの希望や、避けたい色を伝えます。例えば、ビジネス書なら青や黒。エンターテインメントなら明るく派手な色などが考えられます。

6. フォントの種類とサイズはこれだ!

  • タイトルや著者名に使用するフォントの種類や大きさを提案してもらいます。視覚的なインパクトを高める工夫を依頼しましょう。

7. 画像やイラストのイメージは?

  • 写真やイラストを使うかどうか、その具体的なイメージやスタイルを伝えます。また、使用したい具体的な素材があれば、それを提供します。

8. 本のトーンや雰囲気は?

  • 本全体が持つトーンを示します。たとえば真剣、ユーモラス、感動的などです。これらを表紙でどのように伝えたいかをの意思を明確に表示します。

9. 仕上がりイメージやレイアウトは?

  • レイアウトのイメージ(どの要素を強調するか、配置など)を事前共有します。するとデザイナーが具体的な方向性を持ちやすくなります。

10. サイズとフォーマットはこれだ!

  • 紙の本や電子書籍のどちらに使うか、書籍のサイズ、背表紙の幅など、物理的な仕様もデザインに影響しますので、忘れずに伝えましょう。

11. 表紙に使う文言はこれだ!

  • タイトル、サブタイトル、著者名、推薦コメントなど、表紙に入れる文言を正確に伝えます。

これらの項目を事前に明確にして伝えることで、デザイナーとのコミュニケーションがスムーズになり、売れる本の表紙デザインが完成しやすくなります。

Ⅴ 結論

本の表紙は、オンライン時代において書籍の売上を左右する重要な要素です。シンプルで視覚的に強いデザイン、読者に響く色使い、そして目立つタイトルが、その成否を分けます。デザイナーとしっかりとしたコミュニケーションを取り、ターゲット読者に合った表紙を作成することが、ヒット作を生み出す鍵となります。具体的なビジュアルブリーフや読者層に基づいた指示を伝え、売れる本を目指しましょう。

どのような表紙にしたらよいかも含めて、本を出し飼い方はお気軽にこちらへお問い合わせください。また、私たちのサポートした書籍の表紙をご確認されたい場合は、こちらをご覧ください。