商業出版で本を出すには
はじめに
商業出版は、多くの著者の夢です。しかし、その道のりは決して簡単ではありません。そこで編集者として、商業出版を実現するための詳細なガイドを提供します。
1. ジャンルと出版社選び
ジャンル
商業出版には、小説、ノンフィクション、ビジネス書、実用書、児童書、絵本など、様々なジャンルがあります。自分の作品がどのジャンルに該当するかを把握し、そのジャンルに強い出版社を選ぶことが重要です。
実績
- 過去にどのような本を出版しているかを確認しましょう。特に、以下のような点に注目しましょう。
- 強い出版社: 自分のジャンルに強い出版社を選ぶと、編集者との相性が良く、作品の魅力を理解してもらいやすいというメリットがあります。しかし、競争が激しく、埋もれてしまう可能性もあります。ですから同じジャンルで、作品のレベルとしたかなり高いものが書けたという場合は。こちらで勝負してもいいでしょう。
- 弱い出版社: 弱い出版社の方が、新しい作品や斬新なアイデアを受け入れやすいというメリットがあります。あるジャンルに弱い=営業力が弱いわけではありませんから、相手のマーケティング戦略上、自分の原稿のジャンルも加えた方がいいのではないかと思ったら、こちらを狙いましょう。
- 似た作品: 過去に同じような作品を出版した経験がある出版社を選ぶと、編集者との相性が良く、作品の魅力を理解してもらいやすいというメリットがあります。
- 新人作家: 新人作家の作品を積極的に出版している出版社を選ぶと、チャンスが広がる可能性があります。
- 受賞歴: 作品が受賞歴のある出版社を選ぶと、最初から著者に対する信頼感があるので、1次2次選考はスルーで通り可能性があります。
2. 規模とターゲット
規模
大手出版社は知名度が高く、全国の1万数千店ある書店に、あまねく流通させることができます。一方、中小出版社は、そもそも販売部数が少ないので、大正書店に絞って、個性的で斬新な作品を好む出版社への配架が多くなるでしょう。たとえば「詩集」のコーナーは中小書店にはありません。従って配架もされません。ということは「詩」の評価をできる店員もいないということです。ですから大手書店に配架できる出版社が良いでしょう。
- 大手出版社: 以下の作品に適しています。
- 話題性のある小説
- 実績のある著者の作品
- 賞などを取った作品
- SNSで人気の作品
- ビジネス書や実用書
- 中小出版社: 以下の作品に適しています。
- 個性的な小説
- 書店の個性に合わせた作品(出版社が個性的であれば、その個性と合致している書店ルートは抑えているケースが多いです)
- 芸術書や写真集
3. 編集者との出会い
編集者の名前
- 編集者の名前さえ知らない場合、以下の方法で出会うことができます。
- 持ち込み: 持ち込みをする場合は、事前に予約が必要かどうかを確認しましょう。出版社によって予約が必要な場合と、不要な場合があるので、事前に問い合わせておくことをお勧めします。
- 出版社のホームページ: 多くの出版社のホームページには、編集者紹介ページがあります。そこで、担当編集者を見つけ、プロフィールを確認しましょう。
- 文学賞: 文学賞の選考委員や事務局に問い合わせることで、編集者を紹介してもらえる場合があります。
- 文学イベント: 文学イベントに参加することで、編集者と直接会える機会があります。
- 雑誌の奥付ページ:雑誌の奥付に編集者一覧が載っている場合があります。そしてそういう雑誌は記事にも、編集者名が書いてある場合が多いです。それを照合して自分の作品の分野に理解がありそうな編集者を探しましょう。
4. 企画書と契約書
企画書
企画書は、出版社に作品の魅力を伝えるための重要なツールです。以下のポイントを意識して作成しましょう。
- 契約書: 契約書には、以下のような内容が盛り込まれます。
- 印税率: 売上の何割を著者が受け取るかを定めます。一般的には5%~10%程度です。
- 版元: 書籍の所有権を誰が持つのかを定めます。通常は出版社が版元となります。
- 改訂: 改訂版を出版する際の条件を定めます。
- 絶版: 書籍が売れなくなった場合の取り扱いについて定めます。
- 簡潔で分かりやすく: A4で1枚~2枚程度にまとめ、要点を絞って記述しましょう。
- 作品の魅力を明確に: 作品の内容、ターゲット読者(年代、男女、職業、趣味などを細かく設定して「読者の架空像」を提示できるのがベストです。これをペルソナと言います。売りのポイントを明確に伝えましょう。
- 熱意を伝える: 自分の作品への情熱をアピールしましょう。
5. 著者買取
著者買取
著者買取とは、出版社が著者に一定額を支払い、著作権を買い取ることを意味します。印税収入よりも安定した収入を得られますが、将来的な利益が限定されるというデメリットもあります。
- 検討すべき点:
- 買取金額: 妥当な金額であるかどうかを慎重に判断しましょう。
- 二次使用権: 著作権を譲渡した場合、二次使用に関する権利も出版社に移ります。どのような二次利用が可能なのかを確認しましょう。
- 将来性: 作品の将来性を見極め、印税収入の可能性を考慮しましょう
※前回のブログでも書きましたが「著者買取」を要求する会社は、「サギ」である可能性、著者を食い物にしようとしているケースが非常に多いです。私としては「著者買取」の話が出てきた段階でその出版社は候補から除外した方がいいと思います。
6. その他
- 複数出版社にアプローチ: 1つの出版社だけに絞らず、複数の出版社にアプローチしましょう。
- 辛抱強く待つ: 商業出版が決まるまでには時間がかかることを覚悟しましょう。
- 諦めない: 何度断られても諦めずに挑戦し続けましょう。
- 情報収集: 文学雑誌やウェブサイトなどで、出版業界に関する情報を収集しましょう。
- 勉強: 編集者や著者の経験談などを参考に、商業出版に関する知識を深めましょう。
7. 最後に
商業出版は、決して簡単な道ではありません。しかし、努力と熱意があれば、必ず夢を実現することができます。上記のガイドを参考に、一歩ずつ着実に進んでいきましょう。
また私たちクリエイティブ集団COW AND CATも商業サポート会社として、作品へのアドバイス、市場に合った内容、より読者の興味を惹く構成の提案など、多く著者様にご満足いただいております。ぜひ商業出版社検討の際には、候補の1つに入れていただければ、損はしないと思います。