Ⅰ 自費出版は少ない費用で本を出せる
1 自費出版をする理由はやはり費用?
自費出版をしたいという方の最大の理由は費用の目安が安いから、ということでしょう。
そういう方にはAmazonのDirect Publishmentなどが向いています。これは原稿を無料で紙書籍、電子書籍で出版してくれます。同時に電子書籍にもしてくれます。そしてその両方をAmazonのサイトでまで販売をしてくれます。
ただしAmazonは紙の本が売れた場合、売上の全額はあなたには入りません。その代わりに平均するとだいたいの目安として定価の20%程度の「印税」が入金されます。残りの80%がAmazonの出版・販売費用と言うことです。
つまり正味の「無償出版システム」は恐らくほとんどない、ということです。
それでも自分の主張や想いを表面上は1円も支払わずに出版できます。その上お金まで手に入るのですからとてもありがたいサービスです。
しかし無料のサービスを利用したとしても、自費出版にはひとつ大きな問題があります。
あなたの本が日記やエッセイだった場合この問題は余り気にならないでしょう。素直に自分の想いを読者に伝えれば、共感してくれる人がある程度はいるはずだからです。
しかし学術研究やノウハウ本、あるいは物語はそうはいきません。読者に「概念」「物語の展開」を分かってもらうためには、内容が整理されていて、それが読者が分るような言葉、分かるような順番で伝える必要があります。この点まで含めて自分で文章を書ける人は、正直言って世の中にはあまりいません。
2 人を感動させる・納得させるにはスキルが必要
あなたの目的が自分の発見や考えを世の中に示したい。あるいは物語で感動してもらいたい。と言う場合は「素直に書くだけ」では目的は達成されません。
「素直に書いて」目的が達成される人はよほどの文才の持ち主だけです。少なくとも文章を書き慣れている経験がなければ難しいでしょう。なぜなら自分の考えていることをきちんと人に伝えるためにはスキルが必要だからです。
それもこの後お伝えするように非常に多様で専門的なスキルです。
ですから「人に伝わる本」を出そうと思ったら、プロの手を借りることが一番です。誰も理解してくれない本を自分の力だけで出版する方がいいですか?多少のお金を使って確実に読者に届き、共感や同意を得られた方がうれしくないですか?という問題です。
そこでここでは「人に伝わる」本をプロの力を借りて作る方法を説明します。どのようなステップを踏む必要があるのか。費用の相場はどの程度なのか。と言うことをできるだけ詳しく、丁寧に解説していきます。
内容は「本を印刷する」ことだけではなく「販売」の話まで広がります。ですからこのトピックを読むだけで「出版」の全貌を知ることができるでしょう。
ですから少しボリュームがありますが頑張って読んでください。知っておいて損がない。ということだけでなく出版詐欺も避けられます。
Ⅱ 自分の本を出す方法には「自費出版」と「商業出版」がある
1 商業出版(あなたは費用を負担しません)
自分の意見や体験などを本にしたいと思ったら、方法は2つあります。それが自費出版と商業出版です。そのうちここでは「自費出版」の費用とその目安について解説します。「商業出版」については別のページで解説します。ここでは最も重要なポイントだけお伝えしておきます。
商業出版は原則としてあなたにはお金を出させません。
原稿作成費用、印刷費用、販売促進費用、物流費用など全て出版社が負担します。
「原則として」と言ったのは「著者買取」を強要する出版社があるからです。つまり出版費用の一部を本を買い取るという名目であなたに負担させるのです。
その費用が妥当で、あなたが納得していれば問題はありません。しかし私の実体験で言うと、かなりの数の「商業出版社」が「著者買取」を強要します。そして、本当は出版には不要なお金をあなたから巻き上げます。つまり「出版詐欺」です。
これについては、本当に注意していただきたいです。ですのでこのページとこの日のブログで詳しく解説していますので、ぜひそちらをご覧ください。
2 自費出版の概要(あなたが出版費用を全額負担する)
もう1つの方法が自費出版です。自費出版とはその名の通り、自分の費用で本を出版する方法です。
後で詳しく解説しますが、一言で本を出すにはいくつもステップがあります。原稿を書く。印刷できる状態にする。印刷・製本する。(できあがった本を売る)、などがそれです。そしてステップごとにお金がかかります。
できあがった本を売る、をカッコ書きにしたのは、理由があります。一般の自費出版社は印刷した本をあなたの家に届けて終わり、だからです。その上で、書店に本を並べる。ネット書店に本をアップさせる。書店で本を販売する。電子書籍をネット通販書店サイトで売る。このようなことをする自費出版も数は少ないですが、あります。
ですからどこまで自費出版社に依頼するか、と言うことによって費用は変わって来ます。また印刷形式でも費用は変わります。たとえば単行本のような「ハードカバー」と新書のような「ソフトカバー」では費用は大きく変わります。
この様々な要素によって違って来る自費出版費用の目安も後でまとめて解説します。
Ⅲ 自費出版のステップと費用の目安
1 編集・ライティング
⑴「人に読ませる文章」にブラッシュアップさせる作業
①「読ませる」文章を書くには高いスキルが必要
自費出版をするにはまず「原稿」が必要です。しかしその第一段階で苦労する人もいます。
自費出版とは、自分の考えや思い出、研究成果や物語を本にして残すことです。しかしそれだけではありません。周囲の人にも読んで欲しい。全然面識のない人に買ってもらって読んでもらいたい。ということを目標にする人もいます。
しかしそもそも、自分の記憶のために日記を書くこと。そして人に読んでもらうためにあなたの考えや想いを書くことは全く違います。読者はあなたについての知識が全くありません。その人にあなたの感情や、ある行動の理由などを伝えるためには工夫が必要です。たとえば内容も伝える順番も読みやすい文章にすることが必要です。ましてや「販売」するのなら「損をした」と思わせないだけの内容と文章が必要です。
②文章スキルを習得するよりもプロに頼んだ方が早い場合も
❶文章を書き慣れていると思っても「人に読ませる」文章にはなっていないことも
最初から文章力のある人にとっては、このハードルはそれほど高くはありません。しかし一般の人は、普段そのような文章を書く機会はありません。従って思った以上に高いハードルになります。
ですから、このハードルをプロの力を借りて乗り越える必要があります。赤の他人が読んでも理解できる。お金を払って損をしたと思われないようにする。そのために文章を添削してもらう。または直す方向をアドバイスしてもらう。ということです。
これを「編集」と言います。
❷多くの自費出版社は「この文章では伝わらないな」と思ってもスルーする
当然、自分で文章を書くのが苦痛な人もいます。なかなかハードルを越える文章が書けない人もいます。その場合は「人に読ませる」文章を書くプロに代筆してもらう方法もあります。これを「ライティング」と言います。
しかし多くの自費出版社はこの編集、ライティングの作業をしません。あなたから受け取った原稿に多少の校正(文字などを直すこと。後で詳しく触れます。)をかけて、すぐ印刷屋に回してしまう会社の方がむしろ多いでしょう。
これではただの印刷屋との仲介業ではないか。と思いますが、自費出版社と言いながらそういう会社が多いのが事実です。このことははっきり分かっておいた方がいいでしょう。
⑵編集費用、ライティング費用の目安
編集費用、ライティング費用はプロが「脳」と「手」を動かす作業です。頭脳労働です。
①ライティング費用の目安は36万~60万円
特に「ライティング」はライターがあなたとじっくり話して、あなたの言いたいことを理解する。そしてそれを分かりやすい文章としてキーボードで打つ。という作業です。
これはご想像していただければわかるように、非常に高度な知的作業です。従って、費用の目安もそれに応じて高額になります。
一般的な自費出版の本は1冊200ページ(原稿用紙300枚)程度のボリュームです。
それを標準的な「ライター」に代筆してもらうと、費用の目安は1字3円~5円程度です。200ページの本であれば文字数は約12万字なので、ライティング費用の目安は36万~60万円になります。
もちろん、もっと安い「ライター」はいます。しかしそもそも「ライティング」をプロに外注する目的は、自分が書くより内容が伝わり、感動・納得が生まれる本にすることです。にも関わらず下手な文章しか上がって来なければ、最初から自分で書いた方が「まし」です。ですからライティング費用は、これくらいが目安だと考えた方がいいでしょう。
②編集費用の目安は25万~42万円
これに対して「編集」は、一応でき上がっている原稿に対して行います。よりあなたの意図が伝わるように、文章や段落の順番を入れ替える。不足部分を指摘して書き足すように指示する。1つの章を2つに分ける。という作業なので「手」はあまり動かしません。
しかし「脳」はこれも非常に使うので、費用はライティングと同額程度が目安です。ただライティングほどの作業量ではありません。従ってライティング費用の7割程度が目安になります。つまり編集費の目安は25万~42万円ということです。
2 デザイン
⑴本の顔を作る作業
デザインとは本のカバー。表紙。扉(表紙を開いた最初のページ)。帯などの制作全体を指します。
本を買う・選ぶ場所が書店のみだったころは、買う前に内容を立ち読みできました。ですから本を選ぶ情報としては表紙だけではありませんでした。内容が本を「買わせる」最大の要素でした。
しかし2023年の調査では書店で買う人は60%です。残りの30%はAmazonなどのネットで本を買っています。その30%のネットで本を買う人は何を判断材料にしているのでしょうか。それは若干の説明文と表紙、そしてタイトルだけです。
つまり現代では、表紙デザインは本を買う・売る上で非常に重要な要素なのです。言葉を換えればデザインは「本の顔を作る作業」だと言えます。
かつて、ジャケットのイラストやデザインが気に入ってレコードやCDを買うことを「ジャケ買い」と言っていました。まさに本も「表紙買い」の時代になりつつあるわけです。最近の新刊は昔よりも長いタイトルが目立ちます。これも内容を伝える手段がタイトルしかないからです。そこにできる限り「どんな内容の本か」という情報を詰め込むわけです。
また、通常は1人のデザイナーさんがデザインの全てを担当します。しかしあなたが表紙にこだわりたい。好きなイラストレーターの作品を使いたい。という時はイラスト代が別途かかります。
⑵デザイン費用の目安
デザイン費用こそ、ライター以上にピンからキリまでの金額になります。
表紙が大切だから、とヒット本を手掛けているようなデザイナーさん(たとえば亡くなりましたが和田誠さんのような人)に頼めば百万円単位になります。デザイン学校を出たばかりの人に頼めば全部で5万円くらいで納まります。ここでは、ある程度、経験を積んでいて評判も良い人に頼んだと考えます。その場合、だいたい目安としては20万円程度です。
また先ほども書きましたが、イラストは指定の人にお願いしたい、ちゃんとモデルを使って撮影した写真にしたいとなると、これもその人によりますが、目安としては30万円は見ておいた方がいいでしょう。
3 DTPはWord原稿を印刷用に変換する作業
⑴DTPとは印刷用のデータを作る作業
現代ではおそらく多くの人が原稿をMicrosoftのWordで打っているのではないでしょうか。しかしWordの文章はプリンターで印刷できますが、印刷機はWordのデータ形式は読めません。
なぜなら、本の場合は大きな紙に、同じページを一度に何枚も印刷します。ですから余白やのりしろなどを、印刷機を動かす言語に変換させる必要があるのです。
これも特殊な技術で専門の学校もあるほどです。小さな印刷会社でも多分専門のDTP係が1人は必ずいるはずです。
⑵DTP費もピンからキリまで
①DTPオペレーターもピンからキリまで
DTPの費用は1ページいくら、が費用の目安です。ただ、その単価がデザイナー以上にピンからキリまであるのです。
たとえば新卒のDTPオペレーターとベテランとでは余白の取り方が微妙に違います。その「微妙な違い」が本になってみると明らかな差になります。つまりDTPスキルとセンスが本のクオリティに反映するのです。
その差は当然DTP費にも反映されます。ただ、正直に言うとどの出版社に頼んだかによっても、DTP費の目安は異なります。なぜならDTP担当者は印刷会社の社員です。ですから会社の大小によって給与が変わり、それがDTP費に反映するからです。従って全く同じ仕上がりなのに、A社とB社ではDTP費が違ってくる、と言うこともあるのです。
②平均的なDTP費用の目安は
それらを勘案して、一般にGTP費の目安は1ページ500円~1万5000円です。ただ1万5000円は明らかに高いでしょう。これは、古典文学全集など、格も高く作業も注釈や本文の上下に解説と現代語訳が載っている。というような難しいDTP作業を要する本の場合の料金です。
ですのであなたが自費印刷をする場合、そしてDTP費が別途請求される場合は、1ページ2000円程度、200ページで40万円くらいが目安だと考えておけばよいと思います。
4 校正(どこまで校正するかはしっかり打ち合わせを)
⑴校正はただの誤字脱字の修正まででいいのか
①シンプルな校正とそれ以上の問題
一般的に校正とは、試し刷りの誤字脱字。主語と述語の不一致。「てにおは」の間違い。など、表記上と文法上の間違いを指摘し修正する作業を指します。
しかし問題は、表記上、文法上の間違いでは済まない問題があると言うことです。それも「校正」として指摘してもらうのか、が問題なのです。
私の経験では、著者様が「明治維新(1865年)の時に」と書いてあった例があります。気づく方もいると思いますが、明治維新は正しくは1868年です。つまり表記の問題でも文法の問題でもない場合の「間違い」の問題です。こういうミスを指摘し修正する、というチェックまで依頼するか、ということなのです。
②すでに「校訂」の領域に踏み入ってしまっている「校正」
これは大手の出版社では「校訂」と言って全く別作業です。ある作家がエッセーに書かれている話です。彼が「2020年の3月20日の朝、主人公は青空の下を出かけて行った」と書いたのを「校訂係」が2020年3月20日の✕✕という町の天気図を調べて、✕✕町のその朝の天気は雨でしたから修正してください、と言われたのです。その作家は大人しく修正しました。「校訂」というのはそれほど重要な作業なのです。
また私の体験ではこのようなこともありました。
「枯れ木も山のにぎわい」は「枯れ木でも植わっていた方が丸坊主の山よりは賑わっていてよい」というポジティブな慣用句です。それをある著者様は「あの会社は枯れ木も山の賑わいだ」と「あの会社にはたくさん社員がいるが、みんな枯れ木で使い物にならない」という意味で使っていたのです。
③「校訂」を行った場合、事務作業量は倍以上に
このような「日本語としての間違い」まで「校正」として指摘・修正するか、ということで私は悩みました。このような間違いが1つ2つであれば、通常の「校正」のついでに直しますが、いくつも出てくるようだと、最初から疑心暗鬼で原稿をチェックして行かなければなりません。たとえば年代が出たら正しいか調べる、慣用句は正しい意味を調べてその通りに使っているかを確認する、という具合です。これは明らかに作業量として普通の校正の数倍になるので「ついでに」では済まない問題です。当然費用の目安の問題にも大きく影響します。
④「校正」までか「校訂」も含めるのか、見積もり段階でしっかり決めよう
当初見積もった「校正費」もそれによっては再見積もりが必要です。「校正」が「校訂」になると作業量も作業をする上での集中力も数倍になります。従って「校訂」を「校正」の費用でさせていただくと、出版社は完全な赤字です。この著者様の時もその点で少し協議となり、最終的には校正費を再度お見積りをしてお支払いいただきました。
もちろんこのような間違いの指摘・修正は費用に入っていないと言って、看過することもできます。しかしせっかくの自費出版なのにそのような誤りがあったら著者様としても残念でしょう。私たち出版社としても、読んだ方が「こんな間違いにも気づかないレベルの出版社なのか」と思われてしまっては、会社のブランドに関わります。
ですから現在、私たちはお見積もりの段階で校正の範囲まで著者様にしっかり確認させていただいています。「校正」にはそういう問題があるので、あなたも自費出版社に依頼する場合は、そこまで確認した方がよいでしょう。
⑵校正費の目安
先ほど書いたように、校正費の目安はどこまで指摘・修正するのか、によって大きく変わります。目安としては、
- 誤字脱字レベルの校正は、1000文字あたり目安として2000円程度
- 「主語述語の一致」「てにをは」レベルの文法まで校正する場合は目安として1000文字あたり5000円程度。
- いわゆる校訂までする場合は、目安として1,000文字あたり10000円以上かかる場合もあります。
というところです。ですから、先ほどの「日本語の間違い」まで含めて直しす「校訂」まで行うのであれば、200ページで約12万字ですから最低120万円が目安でしょう。かなりの高額です。この辺りは本当に、その自費出版社の出版方針と関わる問題ですから、見積もりの段階でしっかりと目安となる金額を確認しましょう。
ちなみに私たちクリエイティブ出版COW AND CATとしての出版費用の目安はこのページでまとめてご紹介しますが、この校訂までしっかりさせていただく場合の費用の目安は、600字で650円です。1000字に換算した時の目安で約1000円。1冊200ページ・約12万字で13万円という目安です。自社のことではありますが、印刷業界の中でも最安値だと思います。
5 印刷・製本(材料費によって大きく変わる)
⑴印刷・製本の作業とは
この印刷、製本の作業は言葉そのままです。しかし逆に言えば、あなたがどのような体裁の本を希望するのか、と言うことによって大きく費用の目安が変わる部分でもあります。
①本の大きさ
たとえば本の大きさです。一般的には、文庫本判から新書判、そして一般の単行本で採用されてるA6判(128mm✕182mm)、原稿量が多いために四六判では300ページ以上になってしまう場合に採用するA6判より一回り大きな四六判(129mm✕188mm)あたりまでが、ポピュラーなものです。
本の大きさが違う、と言うことはそれだけ使用する紙の量が違うと言うことですから、当然それは費用に影響します。
②用紙の種類
さらにどの用紙に印刷するか、という問題もあります。自費出版の場合に使用する代表的な紙は以下のようなものです。
- 上質紙:光沢のない白色紙。文字がきれいに印刷でき、読みやすいので一般的な自費出版はこれを使う場合は多い。
- 書籍用紙:その名の通り書籍の印刷に向いている用紙で高級感がある。ページの裏側が透けにくく、めくりやすい。色は白から淡いクリーム色まで数種類ある。クリーム色で印刷すると、上質紙より目に優しい。
- コート紙:光沢のある紙で、カラー印刷の場合に使う。自分の本の中にカラーの写真を入れたい場合などは、原則としてそのページだけ紙を変えることはできないので、全てをこの用紙で印刷する。
- アート紙:コート紙よりも光沢が強い用紙。写真集、絵本などの場合にこれを使う。
- マットコート紙:光沢が少ないので、カラー印刷の本をしっとりとした感じにしたい場合、これを使う。
③用紙の厚さ
用紙が決まっても、さらにその厚さがまた色々あります。紙の厚さは計れないので「重さ」に換算して考え「連量」という単位で示します。「連量」とはその紙の四六判を1000枚重ねた時の重さのことです。
上質紙の場合は以下の「連量」が一般的です。
- 55kg:厚さ約0.08mm
- 70kg:厚さ約0.10mm
- 90kg:厚さ約0.09~0.13mm
- 110kg:厚さ約0.10~0.16mm
- 135kg:厚さ約0.13mm~0.19mm
本としては紙が厚いほど豪華な感じがします。薄い紙は裏の字が透けそうで、チープな感じですし、そもそもページがめくりにくいです。私たちが出版を承った場合は、上質紙で連量90kgのものを採用しています。
自費出版の場合は著者様がこの中から「紙の種類」「厚さ」の両方を選ばなければなりません。
④製本方法
製本方法も3種類あります。
- 平綴じ:紙を重ねてホッチキスなどで閉じる方法です。自費出版でこれを選ぶ方はほとんどいません。
- 中綴じ:見開きの状態で印刷されたものを重ね、中央で半分に折り、折り目をホッチキスや針金で止める方法です。ページ数の少ないパンフレットなどによく使われています。あなたの本のページ数が少なければ、この方法にすると費用が安くて済みます。
- 無線綴じ:印刷した用紙の背を接着剤で固めそこへ背表紙を貼り付けます。枚数が多くてもかさばらないので、物語、論文集、自叙伝など一般的な自費出版はこの方法が選ばれます。
⑤そのほかの要素
このほか製本には以下の要素があります。自費出版の場合はあなたがこれらの全てを決める必要があります。ただし実際には全てをゼロから選ぶのは大変なので、自費出版社の方で「豪華にしたい場合」「費用を安くしたい場合」「カラーの本にしたい場合」など最初から組み合わせて料金の目安を設定している場合も多いです。
- 白黒かカラーか
- ハードカバーかソフトカバーか
- 外箱を付けるか
- 表紙を布や革にするか(通常は紙です)
「印刷・製本」と簡単に言っても、ここまでいろいろな要素が組み合わされているのです。その組み合わせによって自費出版の費用は本当にピンからキリまで変わります。
⑵印刷・製本の費用の目安
①何ページの本か、がなければ印刷・製本費用は出ない
先ほど書いたように、自費出版における印刷・製本の費用の目安は、まずどの大きさの本で何ページあるのか、と言うことが確定していなければ決められません。見積もりさえ出せません。ですからまず原稿ができていなければ話は進まないのです。
ただそれでは自費出版できるかどうかという大前提の判断、あるいは相見積もりを取ってどの会社が安く自費出版できるかという判断ができません。ですからまずはアバウトでいいですからイメージだけでも「四六判で200ページ。白黒印刷。100冊。表紙はソフトカバー」と言うように仕様を決めてしまいましょう。
これを決めるだけでも、出版社はいくつかに絞り込むことができます。
②同条件にした時の印刷・製本の費用目安の比較
今、インターネットで「自費出版」を検察し、広告記事も含めて上からランダムに3社、この仕様で印刷した場合の概算費用の目安を比較してみます。
ちなみに大手出版社も自費出版部門を持っているところが増えて来ました。ところがそういう出版社に限って、見積もりは先に書いた「印刷一式●●円」という形でしか出ません。そういう時は費用の目安をを自分で計算することができず、要望だけ伝えてあとは先方からの連絡待ち、という場合が非常に多いのです(事実ですので名前を挙げると、幻冬舎や新潮社、あるいは誠文堂新光堂などがそれにあたります)。
③悪質な自費出版社は必要以上に豪華な装丁をすすめてくることも
悪く考えれば、そこで営業トークをかけてできるだけ高い仕様にさせるというのが透けて見えます。私であればそのような出版社は絶対に避けますが、これはあなたのご判断で決めてください。(ちなみに新潮社のサイトには「四六判のソフトカバーの本200頁を300部印刷した場合で185万円と書かれていました)
このように一般的な仕様の場合、「印刷・製本」でだいたい20万~50万円と言うのが目安です。
また電子書籍は無料アプリを使って自分でWord原稿を変換することも可能なのですが、ここでは一応自費出版社に電子書籍の入稿データを作ってもらったことにします。その費用の目安は2万円前後です。
6 販売・流通(オプション)
⑴販売・流通とは何を指すか
一般的な自費出版は原稿を書籍にするまでが業務範囲です。しかし会社によっては、その書籍の「販売」「流通」もオプションでするところもあります。
①販売とは何か。
ここでいう「販売」は何らかのルートであなたの本を売ること、そして売れるようにするために営業、宣伝広告などの「販売促進」を指します。
販売の方法には2つあります。
❶電子書籍
1つは電子書籍です。
具体的にはあなたの本を電子書籍に変換して、Amazonなどの大きなネット通販サイトに掲載することです。また大きくはなくても、運営者がこだわって自分の目に適った本だけ掲載している書籍通販専門サイトもあります。
電子書籍を売るには、あなたの原稿を電子書籍に変換してもらうこと。Amazonなどと既に掲載契約を結んでいる自費出版社であれば入力作業をすること。1冊ごとにサイトの審査がある場合は、申請作業と通過した時の掲載作業をすること。などの作業が発生します。ですから電子書籍を販売する時の自費出版社の請け負うオプションは「販売」だけになります。
❷書店販売
もう1つは書店での販売です。あなたの本を全国の書店に配本し、書店で売ると言うことです。その場合は、印刷所からあなたの本を宅配便などで書店に配る、つまり「流通」が発生します。「流通」された本は書店で「販売」されます。
また、一般の書籍販売の場合、出版社と書店の間に入り、書店からの注文を出版社に伝え配送を担当する「取次」という業種があります。大手は日販とトーハンの2社で、この2社で全体の70%のシェアを占めています。しかし取次はあなたの本の魅力を書店にPRするなどの販売促進は全くしません。注文を受け、その分の本を送るだけです。その意味でまさに「取次」の業務です。
一方で現在の出版業界の潮流としては、取次を介さないで書店が出版社と直接取引を結ぶようになっています。その最大の書店が「Amazon」です。また自費出版で出した本を日販、トーハンに取次依頼をしても、物流量がわずかであるため絶対に断られます。従って、ここでは取次を考えないで、書店に本を配送する「物流」は自費出版社が行うか、自分で行う。本の魅力をPRして「販売促進」をするのは代理店に委託する、という二本立てで考えていきます。
❸書店であなたの本が売れるためには
しかし書店に配本するだけで「販売」が行われることは極めて稀です。あなたが書いたような本をたまたま探していた人が、たまたま書店で見かけ、たまたま手に取った時だけ「販売」が発生します。
具体的にあなたの本が入荷した場合、書店員さんがする作業は以下のことです。
- 書棚に並べる。
たったこれだけです。しかし書店員さんが「この本を売ろう」「この本は読んでもらいたい」と前向きになった場合はさらに次のことが行われます。
- 出入口やレジに近い棚に並べる。
- 平積みと言って、本棚ではなくその下の棚に何冊も重ねて置く。
- 本の内容が分かるように、来店者が思わず手に取るように、あるいは興味を惹くようにPOPを立てる。
POPとは「Point of purchase advertising」の頭文字で、店頭や売り場に設置する広告などを指します。よく書店で平積みされた本の脇に、書店員さん温手書きで名刺やはがき大くらいの厚紙が建ててありますが、あれのことです。
❹書店員さんを「その気にさせる」ことが何より必要
とは言え今書いたようなことは、黙って書店に本を送り付けただけで書店員さんがしてくれるわけではありません。もちろん「本屋大賞」というものがあるように熱心な書店員さんもいます。そういう人は自分の担当分野の新刊が入荷したら全が てを読んで「これは売れる!」「これは売りたい!」と思ったら自主的に平積みやPOPでのアピールもしてくれます。
しかしそういう書店員さんは稀です。ほとんどの場合は、書店側も本が売れなければ経営が成り立ちませんから、確実に売れる本を平積みしたり、レジ近くに置いたりします。またそもそも平積みできるだけの冊数を自費出版社に注文します。
従ってあなたが著名人である。あなたの本をTVやネット、雑誌の書評などが取り上げた。あなたの本が何かの賞を取った。と言うことがなければ、残念ながらあなたの本は、書店の奥の目立たない棚に1冊置かれるだけです。恐らくよほどのことがない限り、それで売れることはないでしょう。
❺書店営業~営業マンが書店員さんを「売る気」にさせる
そこで必要になるのが「営業」です。たとえばある自費出版社は書店のファックス番号のリストを持っていて、そこへ月に1回程度DMを送ります。そこには今月の新刊や、場合によってはその本の「アピールポイント」が書き添えてあります。書店員さんがその内容を読んでピンと来たら売れるようにディスプレイしてくれるでしょう。
また営業マンが地道に書店回りをする、ということも重要です。営業マンがあなたの本の魅力や売れる可能性を書店員さんに資料などを使って売り込むのです。その内容に書店員さんが納得すれば、やはりあなたの本を来店客にアピールしてくれるでしょう。
➏書店営業~自費出版社が自社で優秀な営業マンを抱えることは不可能
このような優秀な営業マンを自費出版社が自社で抱えているということはほぼ皆無です。なぜなら、当然そのような能力のある営業マンへは高い給与を支払う必要があるからです。自費出版だけしている会社でそれだけの財力持っているところはありません。
ですからだいたいの場合、書店専門の営業会社、あるいは営業マンだけ抱えていて何でも営業するという会社に委託します。当然ですが、この営業マンの営業力によってあなたの本の売上は大きく上下します。その点で言えば「書店専門」の営業会社の方が「本を売るノウハウ」を持っています。ですからそういう会社と提携している自費出版社で出版した方が売れる可能性は高いでしょう。
中には自社に営業部を持っているという自費出版社もありますが、営業対象の書店が十数店舗しかない(全国に書店は1万か所あります)、というようなことがほとんどです。当然それでは売上総数は知れていますから、「本の販売もします」という自費出版社には気を付けましょう。
②物流方法
❶電子書籍
Amazonでもほかの書籍通販サイトでも、在庫を自分で保管する場合は、売れた連絡をサイトからもらい、自分で梱包、発送することになります。自費出版社によっては、自社で出版した本は自社で借りた倉庫に保管し、自社で梱包、発送する場合もあります。
問題は在庫を自分で管理しなければならない場合です。印刷数が100冊くらいまでなら、段ボール4~5箱なので自宅のどこかのスペースに積めば済みます。しかしそれ以上となると、自宅で保管するには場所を取り過ぎて「本の段ボールの合間に住む」ようなことになり、1人暮らしならまだしも家族がいたら大変な迷惑をかけてしまうでしょう。その時には外部の倉庫を借りて保管し、注文があったら倉庫まで行って自分で宅配便で送る。という方法か、通販専門の倉庫会社と契約して在庫はその会社の倉庫で保管し、売れたらそこから発送してもらうという方法になるでしょう。
❷書店販売~書店に並んでいる本もあなたの在庫です!
書店販売の物流も基本は上記と同じです。すなわち自費出版社で在庫管理、発送をしてもらう。通販専門倉庫会社と契約して在庫管理、発送をしてもらう。自宅または貸倉庫で在庫管理を自分で行い、注文が入ったら自分で発送する。の3つの方法です。
ただネット通販と大きく異なる点は、在庫の総数の問題です。ネット通販の場合は、本はどこかの倉庫で在庫管理をするだけなので、在庫数は最少で済みます。1冊あたりの印刷コストは上がりますが、在庫が少なくなってきたらまた少しだけ追加印刷をすればいいだけです。
しかし書店販売の場合は、全国1万店とまではいかなくても東京、神奈川、埼玉の書店に1冊づつ置いてもらっただけで約2000冊が必要です。そして売れた場合の在庫補充のために自分で300冊程度は在庫しておかなければなりません。つまり何冊売れるかどうか分からないのに2300冊は印刷しなければならない、2000カ所に配送しなければならないということです。
もしもこの段階であなたが恐れを抱いたとしたら、本当の問題はこの次にあるので、心の準備をしてください。
❸書店販売(返品)
それは「返品」です。
書店は、特に地方都市の書店は一度仕入れた本は売れなくてもしばらくそのままにしておく、と思っていませんか?だとしたらそれは完全な間違いです。
本はまるで生鮮食品のように在庫サイクルが短いのです。
世間で売れている本、自店舗の客層から言ってそのうち売れそうな本は比較的長く書店に置いてくれます。しかしそれでもせいぜい置いてくれるのは1カ月間です。
書店は本棚とその下の平置き台が「売り場」です。ですからそこにはできるだけ「売れる本」を置きたいのです。逆に言えば「売れない」本はすぐに返品したいのです。
ですからとりあえず注文してみたあなたの本は、店の奥の方の棚に置かれ、3日売れないだけで返本されてしまうのです。
❹書店販売~隠れた在庫に要注意!
これが東京、神奈川、埼玉の2000店で発生したらどうなると思いますか?
そうです。いきなり2000冊という莫大な部数の本が自費出版社、倉庫会社、貸倉庫からあなたの自宅に一気に送られて来るのです。予備の在庫と併せて2300冊です。段ボールにしておよそ600箱です。通常、本を入れる段ボールのサイズは430×330×290mmですから、600箱の段ボールを積むと、縦横5m、高さ3mの場所が必要です。
あなたの家にはその空きスペースがありますか?それだけのものが置ける貸倉庫の1カ月の賃借料を知っていますか?そしてさらに怖ろしいのは、それ以降何の営業も広告もしなければ、その段ボールの山はずっとそのままだと言うことです。
そうなると、あなたはまさに本の山に埋もれて遭難死するか、貸倉庫代のために家を売るということになるかもしれません。書店販売というものにはこのような「隠れた在庫」があることが、非常に大きなネックなのです。
つまり自費出版社の甘い話に乗って、うっかり書店販売などに手を出してしまうと、大変なことになる、という話です。書店販売とはそれだけ大量の出版部数を必要とする流通チャネルなのです。
⑵販売・流通の費用
ここまでお読みいただいてお分かりのように、販売、物流と言うのはお金もかかりますし、自分の本を出版する時の高揚感に比べると、電卓を叩いてばかりで、本当に真っ暗闇の世界ですからできれば近づかないことをおすすめします。もしもそれでもやはり自分の本を出版する以上、多くの人に読んでもらいたいと思うのなら、その気持ちはよく分かりますので、出版から販売までワンパックになっていて、なおかつネット通販を利用することをおすすめします。
①販売費用
❶「販売・営業もします」という自費出版社には要注意!
「書店販売もする自費出版社」と称する会社がネットを見ているといくつかあります。しかし販売方法やアピール内容の深さまで述べないで単に「販売もします」と言っているところがほとんどです。
名前は挙げませんが、この間、ネットを見ていると出版から販売までして「120万円から」とアピールしている自費出版社がありました。私たちも出版社の経営上の収支は当然分かっています。そこから考えて、この出版社の示していることは以下のうちのどれかだと思います。
- 絶対にウソ
- 販売と言っても5~6書店に編集担当が発売時にあいさつに行くだけ
- 人間の代わりに数十店舗にファックスでDMを月に1回送るだけ
❷1人の書店員さんに「売る気にさせる」だけでも大変な労力
私の経験から言っても、書店員さんとコミュニケーションをとって、売ってもらう気にさせるには、1店舗当たり、人件費+代理店費用で月5万円はかかります。それほど書店営業は大変な労力なのです。ですから仮に営業マン1人が1日1店舗、月に20店舗回ったとしたら、その費用は最低で100万円はかかります。従って先ほどの会社が言っている「出版から営業まで」を120万円で実施することなどできるわけがないのです。こういう出版社には、絶対にどこかにごまかしやウソがあると言っていいでしょう。
このように世の中には著者様が出版業の実態に対して知識がないことを利用して、あり得ない安い金額で契約を交わし、実際には契約を守らない詐欺自費出版社があるのです。しかしその会社にそう訴えようとしても、契約書を詳細に読むと「営業に回る書店数が書いていない」→「1店舗回るだけで契約上はOK」と巧妙に詐欺を働いているのです。ですからそういう会社には絶対にだまされないように注意してください。
❷実際の販売費用の目安は?
では、本当の出版費用と販売費用の相場はどれくらいでしょうか。それは本の形式、販売方法によって異なります。具体的には以下のような金額が目安です。
- 紙の書籍を書籍通販サイトで売る 1冊につき定価の30~40%をサイトに手数料として払う
- 紙の書籍を書店で売る 1冊につき30%前後を書店に手数料として払う
- 電子書籍に変換する+書籍通販サイトに登録する 変換作業2万円+1サイト登録2万円
- 営業マンが月に20店舗の書店を回ってあなたの本をPRする 100万円以上/月
②物流費用
❶仮の物流体制
物流費用は「配送費用」と「在庫管理費用」の合計です。以下を仮の条件として概算費用を計算してみましょう。
- 総部数を300冊を印刷する
- 300冊のうち、営業マンが後でPRして回れる規模の30店舗に2冊づつ配本する
- 倉庫を借りて残りの240冊を管理する
- ネット書店で10冊売れるとする
- 書店から追加注文が10冊来るとする
❷配送費用
配送は大手出版社は複数の本を送ることがほとんどなので段ボールで届けます。しかし今回は自費出版で1冊だけ出版したため、配送方法はその大きさなら恐らく最も安い日本郵便の「クリックポスト」を利用します。
詳細はこちらにありますが、1kgまでであれば1配送185円です。先ほど挙げた条件の本であれば1冊200gですから、2冊送っても同額で済みます。
従って書店への送料は以下の通りになります。
- 全店舗 185円✕30梱包=5,550円
- 追加注文 185✕10梱包=1,850円
- ネット販売 185✕10冊=1,850円
従って、「配送費用」は9,250円です。
❸「流通」のために発生する費用~販売手数料
また「配送費用」ではありませんが「物流」ではなく「流通費用」としては以下の金額が必要です。しかしこれは本が売れた時の話ですから、赤字になることはありません。
- 書店への販売手数料 1,500円✕30%✕40冊=18,000円
- ネット書店の販売手数料 1,500円✕30%✕10冊=4,500円
これを一般的には「販売手数料」と呼んでいます。
従って流通費用の合計は、22,500円です。
❸在庫管理費用
また自費出版の場合、印刷してまだ売れていない本もあなたの「資産」ですから、汚れたりぬれたりしないように、冷暖房完備ではなくてもいいですから、しっかりした貸倉庫に保管しましょう。
もしもあなたが個人事業主として本を出版していたら、これらの在庫の本も「資産」として計上しなければ脱税になってしまいます。
ここでの条件は240冊を保管するだけですから、在庫管理費用=貸倉庫代と言っても本当に「倉庫」を借りるレベルにも届きません。4畳大の「トランクルーム」(これはトランクルームとしては最大のレベルです)で収納できるでしょう。立地にもよりますが、たとえば大阪の周縁区(生野区や大正区など。東京で言えば23区外)であれば、25,000円/月程度だと思います。
ただし注意したいのは、本が売れなければずっと発生する費用だと言うことです。上の❷配送費用では、月間で書店の置き在庫と販売分の合計を60冊と仮定しているので、在庫が全てはけるのに5カ月かかります。そうなると在庫管理費用は総額125,000円です
Ⅳ 自費出版の相場費用概算
以上で自費出版をした場合の費用の目安を、非常に詳細に項目別にご紹介して来ました。
ただこのご紹介の仕方だと、全体観が見えないので「要はいくらかかるんですか?」という疑問もあると思いますので、ここで合計費用の目安をご提示しておきます。
費用計算の条件は、四六判・表紙4色カラー・本文白黒・ソフトカバー・200ページ・300部印刷・定価1,500円という本を、書店30店舗に2冊づつ配本し営業マンが月に1回訪問してしっかりアピールする。その結果、書店で10冊、電子書籍も10冊売れた、ということにします。
1 原稿作成費用
⑴ライティング
原稿をプロに書いてもらった場合
36万~60万円
⑵編集
できあがった原稿を見た目よく、読みやすく修正する
25万~42万円
⑶表紙デザイン
イラストなどはフリー素材を使う
20万円
⑷DTP
Word原稿を印刷機に入稿できる形に変換する(※Word原稿のまま入稿できる出版社もある)
40万円
⑸校正
誤字脱字の間違いだけチェック~文法の誤りまでチェック~適切な文言の仕様かまでチェック
24万~120万円
⑹原稿作成費用概算
150万~280万円
2 印刷費用
20~50万円
3 出版費用(1+2)
170~330万円
4 物流費用
- 配送費用 9,250円
- 在庫管理費用 125,000円
- 販売手数料 22,500円
合計 156,750円
5 販売費用
- 電子書籍変換+書籍通販サイト登録(3サイト) 8万円
- 営業マンが月に20店舗の書店を回ってあなたの本をPRする 100万円以上/月
販売費用合計 100万円位以上/月
【自費出版総費用目安】
285万~445万円
いかがですか?個々の条件、特に本の仕様、販売方法などはかなり変動する要素ですが(つまりもっと金額を抑える、逆にもっと投資する)、一応条件のなかで試算した結果は上記のようになります。これが「自費出版社のカモ」にされないで、かなり文章そのものにはプロの目が入った本の出版から販売までの総費用です。
この金額は目安として、あなたの考える出版の条件を、上記で挙げた計算式それぞれに当てはめていただければ、「あなたの自費出版費用目安」が算出できますので、今自費出版をお考えの方はぜひ計算してみてください。
Ⅴ 自費出版+Amazonをするなら「格安・安全」な出版社を選ぼう
1 プロの品質を維持しながら費用を抑えるのは困難
ここまで一般的な自費出版の出版費用、一般的な販売方法をご紹介しつつ費用計算をして来ました。
50冊の売上、というのは正直言って無名の著者様が書いた本としてはかなり健闘していると思います。
しかし、いくつか問題点があります。それは以下のものです。
- 出版費用が大きい。特にプロによる編集費用60万円、DTP費40万円、校正(校訂)120万円の費用は、大きな負担である。
- 書店販売は営業マンの費用が大き過ぎる。更に売上を大きくしようと「いい営業マン」を投入するとさらにこのコストは過大になる。個人、小さい会社はネットに注力して、極力省力化しないと赤字体質から脱け出せない。
- 売れない在庫も「本という形をしたお金」なので、それを抱えるだけでも財政上は負担である。さらにその管理費も毎月発生するので、徐々にダメージが効いて来る。
つまり、プロの品質を出版に求めると費用が非常に増える。また書店販売にこだわると、販売費用だけでなく在庫管理費用も過大になる、と言うことが言えるのです。
2 COW AND CATの「出版サポート」なら全て解決!
⑴著者様にリスクを負わせない自費出版をします
1の問題点を私たちクリエイティブ集団COW AND CATは以下の方策で解決させました。
- 原稿は「内容に深く関わるコース」「文字校だけするコース」などを設け、金額と編集レベルを著者様の意向に合わせる。
- 深く関わる場合は私たちの30年の出版経験をフルに生かして、完璧なものになるようサポートする。
- 印刷・販売、配送はAmazonに完全に委託する。これによって在庫リスクは一切なくなる。同時に「自費出版」に適したネット通販のみに注力できる。
- 宣伝、販売促進は随時著者様と打ち合わせて費用を折半して実施する
- 印刷、編集に関する全ての項目とそのための費用をガラス張りにし、「これをしたらいくら」に隠し事がないように、著者様が安心して契約できるようにする
- 表紙、説明文は非常に重要なので無料で私たちが承る
- 自費出版他社が全く行っていない、アイデア・想いを企画にし、構成にまで落とし込むステップを著者様をサポートして取り組む。アイデア・想いの書籍化が可能か、などのディスカッションだけであれば無料で行う。
つまりAmazonを利用してできる限りリスクを減らしながら、本の内容のレベルアップに注力し、同時に「私たちに何を依頼したらいくらか」をガラス張りにした。
⑵だから「安全」で「格安」の自費出版が可能なのです
その結果、私たちは「多くの人に読まれ得る」自費出版を最低5万円から出版できるサービスを開始しました。さらにそこへ「企画化」「構成」「校正」などのサービスをフルスペックでサポートしても総額20万~30万円前後の費用で出版させていただけます。
さらにAmazonのオンデマンド印刷ですから「本を在庫として持つ必要」がありません。従って著者様は何百万円もの多額の資金を用意しなくて済みます。このような方法は、とても自費出版がしやすいと思われませんか?(1冊売れる都度、10%の印税をお支払いします)
これは出版業界としては画期的な方法です。詳しくはこちらで「コース別」の形でお示ししていますのでぜひご覧ください。また他の自費出版、あるいは商業出版と比べてどこが優れているのか、という点もこちらでご確認いただけます。
私たちをご選択いただけるかどうかは別にして、このページで有体にご説明した自費出版の費用と私たちの「出版サポート」の費用、そして内容の濃さをぜひ比較してみてください!
私たちが「安心の格安自費出版」と自称している理由がお分かりいただけるはずです。