Ⅰ 自費出版は「ターゲット」を絞らないと成功例になりません
1 大きなターゲットで成功例を作れるのは大手出版社だけ
このページでご紹介したように、「ターゲット」を考えない自費出版では成功例は生まれません。しかし想像で「サブカルが好きな人」とターゲットを決めても上手く行きません。その理由は以下の2つです。
- 実際にそういうターゲットが存在しない
- ターゲットは存在するが非常に人数が多い
1のターゲット設定では成功例がないことは明らかでしょう。しかし2はどうでしょう?
「ターゲット」内の人数が多ければ多いほど、買ってくれる確率が上がるんじゃないの?
そう思っていませんか?だとしたらそれは大きな間違いなのです。
正確に言うと「大手出版社の商業出版」ならその本がヒットした成功例は存在します。なぜなら、大手は広告も雑誌やネットで大々的に出せます。書店にも大量に出荷し、いわゆる平積みをしてもらえます。あるいは店頭でPOPをつけて本のキャンペーンを打ってくれるかも知れないからです。
その結果、多くの人は「よく目にする本→売れている本→面白い本」だと推測します。そして購入してくれる確率が非常に上がるのです。
しかしそのためには宣伝のための資金が必要です。全国への配本体制も欠かせません。書店で回る営業マンも必須です。そこでキャンペーンを提案し、その本の魅力を書店員さんにPRするのです。それらの要素を全て持っているのは大手出版社しかありません。ですから大手出版社しか、大きなボリュームのターゲットに向けた本はだせません。
2 大きな市場は競争も激しい
同時にターゲットのボリュームが大きい市場は、どの出版社も狙います。たとえば、今一番売れる本は「異界転生」をテーマにしたライトノベルです。ですからどの出版社もこのテーマの本を必ず出版します。
日本の大手出版社と言われる会社は恐らく十数社あります。それらが全てその市場に参入すると非常に競争の激しい市場を生むことになります。そこで他社の本ではなく、自社の「異界転生のライトノベル」を買ってもらうには、
- 他社より宣伝をたくさん出す
- 他社より多くの営業マンが書店を回って自社の本をアピールする
- 書店でキャンペーンが打ちやすいようにポスターやPOPを提供する
- 他社より本の値段を安くする
ということをしなければなりません。そのことは、さらに多額のお金を使わなければならない、と言うことを意味します。
つまり「大きなボリュームのある市場」に対して出版するには条件があのです。それは競争の中で勝てるだけの資金、体制、人員を持っている企業ということです。戦争にたとえるなら「消耗戦」です。お金や人をつぎ込んで、最後まで息切れしなかった出版社が勝つ、ということなのです。
3 小さな会社、自費出版には必勝法方がある
私たち「クリエイティブ出版COW AND CAT」には残念ながらそのような資金力も、体制も、人員もありません。もちろん個人で自費出版をする場合も同様でしょう。
しかしだからと言って、大手出版社の陰に隠れて細々と出版をして行く、という必要はありません。
なぜなら大手出版社が狙っても「元が取れない」というレベルのボリュームしかない市場というものが、世の中にはあるからです。そこには競合する会社もいませんし、ターゲットとなる人の数も多くはありません。
しかし、「自費出版」レベルで100冊、200冊、あるいは多くても1000冊程度の販売を狙う出版社や著者様にとっては、まさに得意な市場なのです。後ほどここで説明しますが、このような市場を「ブルーオーシャン」と言います。
自費出版の成功例を分析していると、ほぼ99%この「ブルーオーシャン」にいる「ターゲット」を狙った本ばかりです。
では「ブルーオーシャン」とはどういう市場なのでしょうか。その内容をよく理解していただけるためには、まず「日本の市場の変遷」を簡単に分かっていただいた方がいいと思います。
Ⅱ 昭和では「皆が同じ商品を買い、同じ本を読んだ」
1 平成以前の日本人は同じものを買って満足していました。
マーケット(市場)はどんどん変わっています。昭和から平成までの出版業界は、大規模広告・大量販売時代でした。その本の広告を大々的にうち、それを原作にした映画を作り、主人公役のアイドルの歌ったタイトル曲が大ヒットという時代です。
しかし現代は私たちのような小規模の出版社が「売れる本」を刊行できる時代です。
昭和から令和の初めまでは、1つ評判の良い商品、口コミで人気の商品が出ると、消費者はその商品に群がり、店頭でも通販でも「売り切れ」「予約待ち」という状態が頻繁に起こりました。
2 現代人は自分の価値観・こだわりに合った物を選びます。
⑴現代人は「自分の価値観」が大切
しかし、現在はほとんどそのようなことはありません。
なぜなら、まず現代人は以下の理由から「非常にわがまま」で「自分の価値観を大切に」するようになりました。
- 商品情報が大量に流され、社会には非常に多様な製品があることを知った。
- 特にゆとり世代(1987年から2004年までの生まれ)は、学校で「個性は重要」「自分らしさを大切に」と教わった(アイドルグループSMAPの「世界で1つだけの花」が200万枚販売という大ヒットしたのは2002年で、主な購入者は「ゆとり世代」でした)
- 少子高齢化の中で商品を売るため、企業が消費者の非常に細かいカテゴリーを設け「自分のために販売された」と感じさせる商品を発売した。女性用シャンプー1つ取ってもくせ毛用、カラーヘア用、腰のない髪用、抜け毛対策用、乾燥肌用、脂性肌用と膨大な種類が販売されている。
⑵企業は「個々の価値観」に合わせた商品を出すしかない
同時にこのような消費者ニーズの多様化に対応した商品提供を可能にするために、企業は非常に「多品種少量生産」を余儀なくされました。そして以下のようにそれを可能にする商品開発、生産の体制を重視するようになりました。
- SNSへの書き込み情報、ネットでの閲覧履歴の追跡、ネットでの購入状況の分析などによって、消費者1人1人の非常に細かいプロフィールとその好みが分析できるようになった
- 3Dコピーや、生産システムをコンピュータ管理することで、生産コストを上げずに消費者の細かいニーズに完全に対応した商品を生産することが可能になった
たとえばジーンズを挙げてみましょう。まずスタイルが、ルーズフィット、ストレートフィット、スリムフィット、スキニーフィット、ブーツカット、レギュラーフィット、フレイジドレッグと7つあります。さらにそこにウェストのサイズが5mm単位で用意されいます。つまりジーンズ1アイテムに数十種類の商品が販売されているのです。
逆に言えば、今までの「商品に自分を合わせる」買い方が、今は「自分の趣味にこだわり、それに合った商品を見つける」買い方が、消費者の「当たり前」になったのです。
Ⅲ 現代は「多品種少量販売」
1 鉄道ファンの細分化
このような「購買志向の多様化」は、単に「機能」だけではなく「興味、関心」についても言えます。
たとえば「鉄道ファン」を例に挙げましょう。かつて「鉄道ファン」とは「鉄道が好きな人たち」とひとくくりに扱われていました。
しかし今は、
- 鉄道写真を撮ることが好きな「撮り鉄」
- 鉄道の走る音、社内アナウンスなどを録音することが好きな「音鉄」
- 実際に鉄道に乗ることが好きな「乗り鉄」
- 車両の細かい分類やパンタグラフなどの車輛装置に夢中な「車輛鉄」
- 鉄道模型が好きな「模型鉄」
- 切符や古い車輛看板を集める「収集鉄」
- 時刻表を読んで旅の旅行などを立てるのが好きな「時刻表鉄」
- 駅の建物や駅名の由来探しを楽しむ「駅鉄」
- 廃線になった路線を訪れる「廃線鉄」
- レールや枕木の写真を撮る「線路鉄」
- 鉄道の踏切や信号、切替えポイントなどの保安設備や装置を研究する「保安鉄」
- 鉄道の歴史を研究する「歴史鉄」
- 駅弁を食べ、包装紙を収集する「駅弁鉄」
- 鉄道会社を調べたり、好きな鉄道の会社の株を買う「会社鉄」
- 鉄道法規を研究する「法規鉄」
- 地図上に架空の路線を書て楽しむ「架空鉄」
- 「電車でGO!」「A列車で行こう」などのゲームを楽しむ「ゲーム鉄」
- 廃線になる鉄道のラストランに立ち会い、その列車に乗る「廃止鉄」
- SLを愛する「SL鉄」
など何と19種類に分類され、それぞれが独自にサークルを持ち、SNS内のグループを作り、雑誌や同人誌を発行しているのです。
2 コーヒーも実に細かい自分の好みが反映できる。
⑴衝撃的なスターバックスの上陸
いわゆる喫茶店で飲めるコーヒーの世界も、かつては単に「コーヒー」と「アイスコーヒー」しかありませんでした。ちょっと気が利いた店で「ストロング」と「普通の」がある程度で、あとは本当にコーヒー好きな店主が「マンデリン」「コロンビア」など豆別のコーヒーを提供する程度でした。しかしそれは、あくまで「提供する側がどの原料を使うか」という話であって、お客さんがどういう飲み方をしたいか、と言うことではありませんでした。
そんなコーヒー業界の常識を破ったのが、1996年に「銀座松屋通り店」をオープンさせた「スターバックス」です。
私も、一応仕事上、新しいところには行かなければならないのと、根っからの好奇心があって、早速出かけました。そこで驚いたのはメニューの豊富さと、その値段の高さでした。メニューはとにかく大きな黒板一杯に載せてあり、それも見慣れた「マンデリン」「コロンビア」ではなく、ミルクが選べたり、甘味料が選べたり、大きさも3種類あるなど、あくまで「自分がどういう味のコーヒーを飲みたいか」という基準でメニューができていたのです。
そしてその値段!普通の喫茶店で、当時コーヒーは280円から300円でしたが、ここでは450円くらいが平均でした。
⑵現代のカフェのコーヒー数はかつての10倍以上!
つまり、消費者の価値観に合わせて商品をいかようにアレンジしてくれるカフェが日本にもやって来たわけです。今では当たり前ですが、コーヒー一つをとっても、
ドリップ コーヒー
カフェ ミスト
コールドブリュー コーヒー
コーヒー プレス
スターバックス リザーブ® コーヒープレス
〃 リザーブ® ナイトロ コールドブリュー コーヒー
スターバックス リザーブ® ナイトロ コールドブリュー コーヒー
スターバックス リザーブ® クローバー
コールドブリューフロート
ナイトロ コールドブリューフロート
コーヒー プレス
クローバー
モッドバー プアオーバー
サイフォン
ケメックス
ロースタリー フライト
コールド ブリュー
ナイトロ コールド ブリュー
バレルエイジド コールド ブリュー
コールドブリューフロート
ナイトロ コールドブリューフロート
このようにざっと21種類もあります。これに、ミルクも低脂肪タイプ、無脂肪乳、豆乳、アーモンドミルク、オーツミルク、フォームミルクの調整といったように、自分の好みに換えられるわけです。
今の外食コーヒー業界ではこのスターバックスの方法が消費者に支持されてスタンダードとなったため、ほぼどのチェーンに行っても同じような選択ができるようになっています。
ただし、これは「やや高級カフェ」の市場です。一方でドトールのような「コーヒーが飲めればいい」というお客さんを対象にした「中級カフェ」はコーヒーはサイズを選べる程度です。ただしその代わりに値段が250円~300円です。
⑶多品種を追わず、1品種に絞って生き延びる企業も
このような消費者の好みが限りなく細かくなる一方、1つの好みに対応した商品はそれほどたくさんは売れない、という市場の状況を「多品種少量販売」と言います。
このトレンドに乗れず「少品種大量販売」に変化できない企業はどんどん倒産して行きました。
逆に自分の会社の市場を「多様な市場の1つの分野」に絞り込み、商品開発や生産方法、販売方法を全てその市場に合わせ、その結果その小さな市場でNO1をとる、という企業も現れました。そういう企業は、市場は小さくても、その市場の売上をほぼ全部独占できるので、生き延びられるのです。
いずれにしてもどの業界でも、このように「超・多様化」(個人化と言ってもいいかも知れません)している中、出版界はどうなのでしょうか。
Ⅳ 出版市場も実は「こだわり・趣味嗜好・読書傾向」で「多様化」「細分化」している
1 300万部越えの本が売れた時代
出版の世界では「多品種少量販売」はどのような形で起こっているのでしょうか。
昭和の時代はたとえば渡辺和博という人が書いた「金魂巻」(1985年発売)は、人をお金持ちの「丸金」と、貧乏な「丸ビ」に分けて面白おかしく社会を分析した本でした。この本は合計350万部売れました。
これは同じ時代で言えば、「dream comes true」のCD売上に匹敵するのもので、まさに大ヒット商品です。丸金、丸ビはその年の「流行語大賞」にも選ばれました。
この時代にも自費出版はありましたが、それは本当に「退職記念」など自分のために数十部印刷するものだったのです。
2 現代は自費出版の成功例が出やすい市場状況!
今、そこまで売れる本は滅多にありません。70~80万部うれれば大ヒットと言われています。
しかし本の種類の方は1980年代は年間で4万点でした。しかし2020年代には7万点に増えています。
つまり、まさに本の市場も「多品種少量販売」の時代なのです。つまり私たちのような小さな出版社の出す自費出版にとって追い風の時代なのです。
もう少し踏み込んでいえば、仮にあなたがある出版社で自費出版し、販売もしようとしたとします。そして「このような特殊なものは売れない」と言われたとしましょう。
しかし、読んでくれるターゲットをきちんと定め、その人たちの心に刺さるように、表紙から内容まで作れば、自費出版でも必ず売れます。もちろん大ヒットまでは行かなくても数百~数千部のヒットにはなる可能性があるのです。これは自費出版としてはどんでもない販売数です。
このように時代もマーケットも「多品種少量販売」がトレンドです。そして「多品種少量生産」の時代だからこそ「ブルーオーシャン」という市場が成立し、私たちに成功の可能性が訪れるのです。
つまりあなたの原稿は、私たちが「出版マーケティング」に沿って本にすれば、ほぼ確実に売れる本になるといえるのです。それを目指すのが私たちの「出版サポート」です。
ぜひ私たちと一緒に自費出版の成功例を作りましょう!