「ブルーオーシャン」に出版市場を例えると
ブルーオーシャンの用語は、出版界では以下のように読み替えます
- オーシャン(海)とは「市場」のこと。ここでは「本の市場」です。
- 魚とは「本」のことです。
- 魚を釣るとは「本を買っていただく」ことです。
- ブルーオーシャンには、ブルーオーシャンにしかない本を探しに、釣り人(本を求める人)」がやって来ます。
- しかし、たくさんの釣り人が集まって来て、漁場が混んでしまうことはありません。
- ですからブルーオーシャンはいつも適度に空いています。競争相手もいません。
出版界での「ブルーオーシャン」とは
ブルーオーシャンの定義と出版市場での読み替え
「ブルーオーシャン」に棲んでいる魚の種類は非常に多いです。
しかし棲んでいる魚の個々の数はそれほど多くはありません。だから多くの釣り人が来ると、すぐに海は枯渇してしまいます。
逆に「ブルーオーシャン」に棲んでいる魚は、マグロやカツオと言った、多くの人に狙われる種類のものではありません。
むしろ「変わった魚」「一部の人だけその飛び切りの美味しさを知っている魚」が棲んでいるのが「ブルーオーシャン」です。
出版界に置き換えれば、誰にでも読んでもらえるわけではありませんが、少数のファンが必ず買ってくれるジャンルの本をひとくくりに呼ぶと「出版界のブルーオーシャン」になります。
ですから釣り人は、競争相手もいないので1日のんびりと漁をし、家族の夕餉を賑やかにして、あと少し親しい人におすそけができるくらいの魚を釣って、帰って行きます。
これに対して、魚も多いけれど、同時に釣り人も多く、釣り人同士の競争、本(魚)同士の競争が激しい海を「レッドオーシャン」と言います。
ブルーオーシャンの魚(本)の特徴
「ライトノベル」「異界転生」「有名人の話」「常識的で当たり前な論考」のような、同じような内容の本はブルーオーシャンにはいません。
ブルーオーシャンに来る釣り人も、その手のものには飽き飽きしています。
代わりにブルーオーシャンには、
- 新しい刺激がもらえる本
- 今の常識に逆らう本
- 自分の知らなかった世界を教えてくれる「目からウロコ」本
- 今は注目されていないがそのうち世界中の人が追いかける本
- 少数のファン仲間がいて密かに愛好会を作っている本
などが出版されています。
そういう本を求めて、人は出版界のブルーオーシャンにやって来ます。
あなたの本がブルーオーシャン向けなら、
メリットばかりです
あなたの本が「ブルーオーシャン」のカテゴリーに入っていた場合、以下のようなメリットが得られます。
- 安売りしなくて済む。
- 多少高くても確実に釣ってもらえるので多くの印税が入る
- 続編が書きやすく、その続編には確実をそれを狙う釣り人が現れる
- 部数は少ないが熱狂的なファンがつき、必ず釣ってもらえる
- テーマがオリジナルでオンリーワンなので、あなたはライバルの存在しない第一人者になれる
- 広告はそれほどしなくても釣り人の方から探して釣ってくれる。
向こうの岸の「レッドオーシャン」の特徴
定義
レッドオーシャンとは、同じようなテーマ、分野の本が多く出版されている既存市場のことを指します。
特徴
- 多くの似たようなテーマ、分野、常識的な内容のものばかり
- 多くの釣り人が押し寄せて、いつも混んでいる。しかし目指す本は平凡なものばかりなので、漁もほかの釣り人との競争になるる。
- ぎゅうぎゅう詰めの海で目立たないと売れないため、安売り競争、先行する本のパクリなどがたくさん養殖され、本同士の競争も起こる。
- 1匹人気の本が出ると、ほぼ釣り人全員がそれを手に入れる。そのため、同じようなテーマ、同じような展開、先が見える展開の本ばかり養殖され、釣り人は飽きてしまう。
- 作者も同じ傾向の本ばかり書かされるので、嫌になって来る。
デメリット
- 本の価格を安くせざるを得ないので印税も少ない。
- 「どこかで読んだことがあるような話」なので釣り人が読み終えた時の感動も薄く、リピーターになりにくい。
- すでにたくさん釣られた本、有名人の本が強い。つまりここに集まるたくさんの釣り人はブランド志向であり、フォロワー(※)である。
- 大々的に広告をして、レッドオーシャンのあらゆる書店に本を置き、「売れてる感」を演出しないと売れない。
※フォロワー:新しいものよりは「みんなが持っている」「読んでいる」「買っている」ものを買う方が安心、という人たち